第14話 バンフの街、再び

 ジャスパーまで自転車一人旅をした6月はあっという間に過ぎてしまった。楽しい時間は早く過ぎる。今日7月1日はカナダの休日、バンフの街は大勢の人で賑やかだ。サイクリングの名残で脚がだるい。身体も気だるい。


 夏になってバンフを離れる日本人が出始めた。居候のケンちゃんは既に先月出発してるし、近江屋のコックのヒロちゃんも8月末で一旦帰国するそうだ。”半年かけて” と言ってたからケンちゃんと同じように海外巡りをしながらであろう。良い事だ。

 北極を辞めてホテルで働いていたシャロンは今月中旬に仕事でトロントへ行くそうだ。彼女とはもっとゆっくり話したかった。

 トキオさんは今日から1カ月、”写真撮影でユーコンに出発する” と昨夜話していた。良い写真を撮ってくるかな?

 

 7月4日。

 ついにビーバーに遭遇、やった。例のFenlandへ夕方6時過ぎに行ってみた。初めてムースに遇った場所のすぐ近くの川を遊泳していた。思ったより神経質のようで、すぐに水に潜ってしまう。2度ほど見失ったが、遊泳中、岸に上がるところ、首だけ岸に出して何かを食べてるところが観察できた。

 橋を渡って森の外の湿地帯側から静かに観察していたら、森の小路を歩いて来た2~3人がかん高い声を発した途端、潜ってしまった。一瞬、”コイツめ!”と思ったが、すぐに一人の女性が、"Sorry,Beaber..."と謝罪してくれた。"O.K."と返答しておいた。悪気はないので何ら問題ない。写真を撮り損ねたのだけが残念。


 翌日、ヒロと2人でゴルフコースを回るつもりでバンフスプリングスホテルまで行ってみたが、混み過ぎていてできず打ちっ放しのみにした。偶にまともに当たると実に気持ち良い。横に居た外人さんが感心していた。飛距離だけなら負けないんだが…。

 その後、テニスに切りかえプレイ中に、猫が小鳥を咥えているのを見てしまった。すぐ近くを別の小鳥が鳴きながら飛び跳ねているのが助けを求めているように見えたが、近くに出入口がなく助けられなかった。出入口があったらどうなんだろう。助けるべきか否か? ヒロに話したら、”弱肉強食だよ” と素っ気なかった。冷たいヤツ。


 その翌日、1日遅れでど素人2人でゴルフをして完敗。約束なので夕食を奢らされた。


 7月7日。

 カルガリーはバンフから約120㌔東にあるカウボーイの街だ。毎年この街で7月にカウボーイの祭・スタンピード

祭が開催されている。今年は今日がその初日で10日間開催される。毎年そうかもしれない。

 早速行ってみた。会場に入ると大勢の人がいたが、殆どの人がカウボーイハットを被っている。ムードは大事。『郷に入っては郷に従え』で、似合わないのではと気にしつつ赤いのを買った。

 できれば、宿泊して2日連続としたかったが有名なカウボーイ祭、空室があるわけがない。ティンバー・ショー、スキー・フリースタイルショー、黒人のダンス等を観戦したが期待したほどでもない。


 翌日、TVの録画でロデオ、ワゴンレースを観戦したが、これは面白かった。カウボーイ祭はこうでなくっちゃ。

 その翌日、再度会場を訪れた。今度は立席であったが、ロデオ、ワゴンレースがライブで観戦できた。

 結局、スタンピード祭会場には計4日訪れた。後の2日はヒロとレンタカーで行ったので最後のステージ・ショーまで観られて良かった。16日に閉幕した。


 7月13日。

 初めてバイソンを見た。野生のはカナダにはいないと思う。ヒロと2人でレンタカーでレイクルイーズの先にあるタカカウ・フォールへの途中のバイソン・パドックに立ち寄った。パドックとは放牧場を意味する。広い柵の遠くの方で昼寝しているのが見られた。

 タカカウ・フォールは特にこれといった魅力は感じられなかったが、帰りにもう一度寄ったバイソン・パドックで7~8頭のバイソンが間近で見られて良かった。そのうち1頭が私の真ん前の柵に思い切り頭突きをかましてきた。助走もしてないのにかなり強烈であった。


 バイソンパドックへ出発の朝、バンフを出発してすぐ、Fenlandの手前の車道で黒熊の親子に遇っていた。もうすっかり見慣れていたがバンフの街近くの車道では初めてだった。2匹の子熊はいつも通り可愛い。

 

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