第3話 揺れる恋

ー学活―

これはクラスのみんなで何かを決めてそれを45分(1限目)丸ごと遊べるという時間であった。


俺たち3組では、小学生が大好きなドッジボールであった。


事前に2つのグループに分けてそれを何回かすることになった。


今なら、疲れそうで嫌だなと思うが当時の俺からすれば楽しみすぎる時間だった。


何より、日向歩と同じグループだったからである。


先生「では、みんな二手に分かれて 体育係ボールないからもってきて」

体育係「あ、忘れてた はい」

クラスの男①「よぉーし 今日はお前には負けないぞ たかゆき」

隆之「いやいや、お前のボール遅すぎて余裕でとれる」

クラスの男②「たかゆきボール掴むのどうしてる?頼む教えてくれ」

隆之「いや、敵なんだから教えるか!」

クラスの男③「逃げればいいんだよ結局、当たらなければ負けないから」

隆之「それじゃあ勝てないな」

俺たち男が壮絶に盛り上がっていた。そして、

先生「では、始めるぞ、スタート!」

そして、楽しみにしていたドッジボールが始まった。

歩「ほんと男子ってドッジボール好きだよね」

隆之「そうだな なんでだろうな」

歩「私は、こういうの苦手だから 当たるの痛いし、怖いし」

隆之「じゃあ、守ったるよ」

歩「えっ!?」

隆之「なんだよ」

歩「何でもない..... じゃあお願いね」

そこから俺たちは、あっという間に時間が過ぎていき、俺たちのグループは勝利した。

隆之「な 守っただろ」

歩「うん...」

隆之「勉強と運動では負けたが、遊びでは負けん(笑)」

歩「なにそれ(笑)」

隆之「この勝負は俺の勝ちってことで」

歩「戦ってないじゃん」

隆之「胸に手をやってみなよ 私の負けだって言ってると思うぞ」

言ったとおり、歩は胸に手をやる

歩「!?」

隆之「あれ 言ってなかった?(笑)」

歩「........知らない!」

こうして楽しい時間が終わりを告げ、その後、あの出来事が起こる。


―ある日―

今日、あとは帰りの会を終えて帰れる掃除時間の際の出来事だった。

掃除のリーダー「はい、今日の掃除は終わりです クラスに戻っていいよ」

隆之「自分は、ちょっと片付けてから戻ります」

掃除のリーダー「わかりました」

掃除場所は、音楽室で、椅子を元の位置に片付けているときに声をかけられた。

?「ねぇ」

隆之「うわぁ!」

歩「驚きすぎやろ(笑)」

隆之「ビビらせんといて.......(笑)」

歩「...そのさ.......」

隆之「どしたの?」作業を止める。

歩「...........」

すごく間をあけていた。本当に何を言うのか心当たりがなかった。

隆之「気分悪いの?大丈夫?保健室行く?」

歩は首を横に振った。そしてこう話した。

歩「私のさ、好きな人知りたい?」顔を赤らめながら

隆之「えっ...ほんとのやつ?」

歩「うん......」

俺は正直また、からかわれているのかと思った。だが、歩のこんな表情は初めて見た。

隆之「....知りたい」正直に答えた

歩「帰りの会終わったらすぐに誰よりも早く下駄箱のところ来て」

隆之「わかった.....」

そして、歩は音楽室から走っていった。怖かった。何が起こるのかが分からなくて。

それと同時にクラスに戻りたくなかったが、掃除終了のチャイムが鳴ったので下を向きながら戻っていった。


―下校―

下校は、同じ学年ごとに集団下校が基本になっているために、早く下駄箱に行かないとみんなが来てしまうと歩がいう好きな人が聞けなくなってしまう。


みんなが来るのに遅くても1分ぐらいしかない。


それがタイムリミット。


だから、クラスに戻るとできるだけ早く下駄箱に行けるように支度した。







すごく緊張した。


先生「では、皆さん さようなら 気を付けて帰ってね」

俺は、その言葉と同時にクラスのドアから出ていった。



誰よりも早く。歩の姿は恥ずかしくて見れなかった。


俺は、いち早く下駄箱に行き、周りに同じ学年いないのを確認し、安心した。





そして、後ろから


歩「お待たせ」

隆之「.....」緊張しすぎて声が出せれなかった。

歩「言うの始めていい?」

隆之「うん」

歩「私の好きな人は.......」

隆之「……….」



怖かった この楽しい関係が終わりそうな気がして




歩はその次の言葉がでなかった。



そして、階段からみんなが下りてくる音が聞こえた。







歩「私の好きな人は.......」もう一度言い直した。











歩「この下駄箱なんだよね」



隆之「..........」今なんて言った、頭の整理がつかなかった。


歩「この下駄箱ホント好きなんだよね」

隆之「あぁ、そうなんだ..」気が抜けた。


ついに同じ学年のみんなが下りてきた。


歩「.......たかゆき、ばいばい」階段から降りてきたみんなの集団の中に入っていった。

俺は、意味が分からなかった。何をしたかったのか。


その日以後の歩の態度はいつも通りであった。



俺は、前の出来事は無かったことにしようと思った。

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