第35話 迷子3

そもそも、複数人を相手に戦う時に不利なのは当たり前である。

だって、人数が相手の方が多いから。だから、人数が多い時には、走りながらなるべく一対一で戦えば良いのでは無いかと考えた。そんな事を考えた。


案外上手くいったらしく、数名が僕の攻撃で気絶していた。それにしても、なんか全体的に年齢が若いし、なんか弱い気がする。こんなものなのか?

「こいつ、」

そう言って、僕に突っ込んで来る、獣人族の青年だが、なんと言うか動きが単調だし、動きが見えるし、突っ込んで来た隙に腹部に思いっきりパンチを入れれば良いだけだ。


それになんか、止まって動けていない人は、距離をつめて攻撃すれば、大体一回で動けなくなる。まあ、そりゃドラゴンよりは弱いしな。



「貴様たち、‥‥前にも言ったな、考えなしに突っ込むなと、まあ仕方ない。私の判断ミスだ。これは想定外だ、囲めば降参するか、しなくとも制圧出来ると考えていた。貴様らはダメージを受けた人を連れて撤退しろ。」

その時、リーダー格の筋肉質の青年が、そう声をあげた。

その言葉でリーダーを含めた3人以外がいなくなった。てか、残ったリーダー以外の人の顔似ているな。双子かな?

良い判断なのか?まあ優しい判断だろうな。僕にとっては人が減ってラッキーだが。でも、残ったのが実力者なら、逆に厄介なのでは?


「「騎士団長、我々は残りますよ。流石にこの未知の強さの人物がいるなか、おいていけません。おかしいですよ、この人俺らのスキルでは、能力的にはそこまで強いはずないけど、まあそれでもこんだけ被害。まあ残りますからね。団長」」

そう双子(多分)は声を揃えて、言葉を放った。確か、そんなスキルはスキル図鑑で見た。いろいろその手のスキルはあるらしいが、強さがオーラ的な総量で見えるんだっけ。多分潜在能力を見ているのだろうな。


「足を引っ張るなよ。それで、侵入者の貴様、3対1で戦う非礼を謝ろう。」

そう騎士団長が呟いた。だから、僕は、そこで


「さっきも1対多数だったから謝られなくても大丈夫ですよ。」

そう返した言葉とともに戦いが始まった。

団長が地面を蹴る姿が見えた。僕もそれに合わせて地面を蹴った。


ちょうど、僕と団長とを結んだ線の中心あたりで僕と団長は激突した。

僕が振るった。拳は、団長の腹部あたりを捉えた、はずだった。

何故か僕の拳は鉄の盾にぶつかっていた。それに目の前の人物が、団長から双子のどちらかに代わっていた。僕の全力パンチも鉄の強度に勝てないらしく、凹みを付けることしか出来なかった。


スキルか。そう思って、パッと周りを見るともう片方の双子の隣に団長がいた。

「これで侵入者君の拳は使い物にならないだろ」


そう盾で僕の拳を受けた青年はつぶやいた、なるほど、これで攻撃手段を消して無力化を狙うっていうのか。まあこれはなんと初見殺し感があるし、分かっていても場所が入れ替わるという可能性があるだけで厄介だ。

まあ、僕に攻撃が通じればの話だがな。ただ手はすごく痛い。

でも、まあ油断している今がチャンスだろう。


「それは、どうですかね。」

そう僕は言いながら、左の拳で、盾を持つ双子の腹部を狙った。腹部にも防御用の鎧があったが、まあその程度なら痛いけど関係ない。双子の片方は右側の木に飛ばされていった。これなら、そう思った瞬間、僕のガラ空きの腹部に団長がいた。ここまで移動したのか?そんなわけはない。


団長がいた場所に盾があった。さっきと同じ方法か。次の瞬間には団長の重たいこぶしが腹部に激突して僕は後方に飛ばされた。


「ここからは力加減もなしだ、捕獲は諦めた。死んでも文句を言うなよ貴様。」

殴りながら、その青年はそうつぶやいた。


「死なないので僕。」

そう言葉を返しながら体制を整えた。

さて、どうする?ルナさんはもう距離を取ったし、ここで逃げてみるのもありだが、


その時に僕に向かって矢が飛んできた。僕には、この距離で反撃する手段もないが、矢なんて対して…………違う。


次の瞬間、矢が団長に変わった。

やはりか、僕はそのタイミングに合わせて、反撃を

次の瞬間、盾に代わっていた。僕は盾をただ、左に吹き飛ばしただけだった。


なんだよ、このクソゲー。厄介すぎる。とりあえず、場所を入れ替えるスキルは誰が持っている。確かあれには射程と消費魔力量が多いと登録している物や人でしかスキルが発動できない欠点があったのを図鑑で見た。つまり、疲れてきたやつってことか。そんなことしなくても分かりそうだな。今は、僕に思いっきり殴られた奴は木のところでダウンしているから、残っているのは二人。まあ、普通に考えれば転送してきた瞬間に反撃に気が付くことがないから、あの弓矢撃ってる双子か。


そう思っていると再び矢が飛んできた。双子を止めないと面倒なことになるからとりあえず、弓矢との距離を縮めるか。そう思って弓矢が飛んでくる方向に突っ込んだ。次の瞬間、矢が盾に変わった。

これは、矢を無視して正解だったな。そう思ってそのまま、走り続けた次の瞬間、盾が地面に落ちた瞬間。


団長が剣を構えていた。嘘でしょ。つまり盾で視界を封じつつ、距離を詰めてたってことかよ。無茶苦茶しやがる。


「貴様、加減はする死ぬなよ。連行するのが我々の使命だから。」

そう団長が言って彼は僕に剣を振るった。まあ防御は間に合わない、仕方がないので痛みを許容しよう。


僕は斬られているその攻撃を無視して前に進んだ。


「何故?今確実に私は、貴様を斬ったはず。」

状況を理解できずに動揺している団長を無視しして、僕は弓矢と距離を続けた。

弓矢を打っている双子の片方の方も攻撃を食らったはずの僕がダメージを受けていないことに動揺して固まっていた。


だから、僕はその双子の片割れにも腹部に軽く一撃を加えた。


「だから、僕は死なないって言いましたよね。」

まあ、こういうのは基本的に油断した瞬間に負けるのだ。気が付けば、僕の腕に手錠が掛けられていた。誰が、これをした?いつ、なんで?えっ。僕はしっかりと3人警戒していたし。


「みなさん、大丈夫ですか。熱くなりすぎですよ。」

次の瞬間僕の目の前に少女が現れた。確か、最初の法に団長を制止したいた人物。


「…………」

ああ、そうか。最初からこの少女は隠れてチャンスを伺っていたのか。まあ、周りの他の人々から見るに、多分誰も知らなかったのだろう。ああ、これは負けだ。頑張れば無理やり腕輪を外したり出来るかも知れないが、それでも、なんか完全に戦いに負けた気がする。


「はぁあ、しょうがないのでついていきますよ。」

そう僕は呟いた。本当に、調子に乗るんじゃななかった。恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしいのを必死に隠して僕はとりあえず、この人たちにに捕まることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る