7. 男性だから

7. 男性だから




 次の日。オレとカトレアは魔法競技大会で一緒に組んでくれる仲間を魔法学園内で探すことにした。


「うーん、中々見つからないですね」


「そうね。どうする? まだ時間はあるし、もう少し探してみる?」


 まぁ案の定、仲間になってくれる人はいない。みんな口々に『あのルーティ先生のクラスだろ?』『今2人なの?無理無理』と断られてしまう。『風神』ステラ=シルフィードの恩恵を微塵も感じないしな……。


 仕方ないよな……。だってオレが逆の立場なら絶対に断ると思うしな。でも、このままじゃいけない!オレの学園生活がかかっているからな。オレはやるぞ!!


 そのあとも声をかけ続けたが結局この日の収穫はなかった。


「ごめんなさいカトレア……全然見つからなくて……」


「気にしないでください。私こそ力になれなくてすいませんステラ様。あ!そうだ!」


 するとカトレアは何か思い出したのか手をポンッと叩いた。


「あのもしよかったら一緒に図書館に付き合ってもらえませんか?この前の授業で分からないことがあって」


「図書館?」


「はい!1人だとなんか集中できないような気がして……」


「ええ、もちろんいいわよ。それでは行きましょうか」


 それからオレ達は図書館に向かった。図書館の中に入るとたくさんの本棚があった。そこには見たことのない本がたくさんあった。せっかくだしオレも魔法の勉強をしておこうかな。


 そしてお互い必要な本を読み始める。ふと横を見るとすごく真剣な顔で本を読んでいるカトレア。


 こう見るとカトレアって可愛らしいよな……こう……女の子って感じで。それにしても綺麗なオレンジ髪だよな……。サラサラしていて触り心地良さそう……ちょっとだけ触ってみようかな……。そんなことを思っていると、視線を感じたのか急にこちらを見てきたカトレアと目が合ってしまった。


「……!?」


「ス、ステラ様?」


「あ、いえ、なんでもないですわ。少しぼーっとしてただけですので。」


 危なかった……もう少しでバレるところだった。なんとか誤魔化せたみたいだな。何考えてんだオレは。こんなところを誰かに見られたら勘違いされるかもしれないじゃないか。


 とりあえず誤魔化すために、カトレアが読んでいた本の内容が気になったので聞いてみた。


「カトレアは一体何の本を読んでいたのかしら?」


「これですか?これは魔力操作について書かれている本ですよ」


 魔力操作……。オレなんか初歩的なことしかできんのだが大丈夫なのか?


「魔力操作ってどんなことができるのかしら?」


「えっと例えばですね。私がいつもやっていたのは火属性魔法の初級魔法のファイアボールを手の上で回転させるという練習をしていたんですよ。そしたらだんだんと早く回せるようになってきて……」


 すごいな……そんなことまで練習するのか。今のオレには到底できなさそうなことだけどな……。


 そしてそのままカトレアと別れ家に帰ることにする。もちろん迎えの馬車が来ていて、中に乗り込むとリリスがいる。


「お疲れ様です。エリック様」


「ああ」


 リリスを良く見ると、美人メイドって感じだな。それに胸が大きいし……。オレ的には最高だよな。


「なにか?」


「えっ!?いやなんでもない」


 また考え事をしていたせいか、つい見つめてしまったようだ。良く考えたらオレの周り女しかいないんだが……意識しないほうが無理があるよな。そんなことを思っていると、なぜかリリスがニコニコしている。


「……なんだよ?」


「いえ、エリック様も男の方なんだなって思いまして。ふふっ女性に興味を持たれるということは男性として健全な証拠ですからね」


 ……性格悪いぞリリス。オレが見ていたの気づいていたのかよ。てか絶対楽しんでいるだろコイツ。それからしばらくして家に着き馬車を降りる。


 するとリリスは一礼して去って行った。今日は何もできなかったけど明日こそ仲間を見つけないとな。

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