5. カラスよりシュリンプ
5. カラスよりシュリンプ
豪華なシャンデリア、そして大きなベッド。そう、オレは今部屋にいる。いい加減慣れたが、今までの生活から考えるとあり得ないくらい場違い感があるな……
「……」
そんな事を考えながらベッドに腰掛ける。ふかふかだ……
「ふぁ~あ。つかれたな」
さすがに眠い……もう寝ようかな?そんなことを考えているとリリスがやってくる。
コンコン! ガチャッ!
「失礼します。エリック様、ステラ様から通信が入ってます」
「ああ?」
オレはリリスから渡された通信魔法具をつなぐ。これは離れた相手と会話ができる魔道具だ。魔力さえあれば長い時間、長距離の通話も可能である。
「なんだ?」
《ご機嫌ようカラスさん?まだ生きてましたのね?》
「まあな……」
相変わらず嫌味ったらしい女だぜ……。とは思うが黙っていることにする。ここで機嫌を損ねると面倒だからな。ついでだし聞きたいことを聞いておくか
「なぁステラ。なんでお前はあのクラスに入ったまんまなんだ?お前の実力なら他のクラスでも問題ないだろ?」
《はぁ?あなたって頭が悪いのかしら?楽に決まってるからでしょ?》
聞いたオレがバカだったな。こいつはこういうやつだ。
「とは言ってもオレとカトレアって言う平民出身の子しかクラスにいないんだがな」
《はぁ?あなた平民と一緒にいるの?私のイメージを崩さないでもらえないかしら?》
「悪いかよ?オレのやり方に文句を言わない約束だろうが?」
《ふん!》
オレも平民だ。バカにしやがって。だから貴族とか王族とかは嫌いなんだよ
「まぁいい。四大ってやつらが入学してるらしいんだが、お前は会ったことくらいあるだろう?知っていることを教えてくれないか?さすがになんの情報もないのはキツイ」
《……真面目に卒業する気はあるらしいわね。いいわ。特別に教えてあげる》
そりゃ卒業できなきゃ死ぬからな。
《そうねまずグレン=フレイザード、ただのゴリラよ。エリス=アクアマリンはイケ好かない女。ラスター=アースランドは腹黒男。これでいいかしら?》
「全然参考にならんが?」
《興味ないんだから、知らないわよそんなこと。どうせ何かあっても死ぬのはあなたでしょ?私には関係ないわ。自分でなんとかしなさいな》
……この女は!
《じゃあ切るわよ?もう用はないでしょう?》
「おいちょっと待て!」
《何よ?美味しいシーフードが冷めるじゃない?目の前にプリプリのシュリンプがあるのよ?》
「お前……オレよりシュリンプなのかよ。今月末に新入生魔法競技大会があるんだ、オレは魔法能力が平凡なんだバレる可能性があるだろ!もっと真面目にだな?」
オレがそういうとステラは少し黙って答えた。
《……わかったわよ。全く世話がかかるわね。いい?一度しか言わないわよ?》
「お、おう」
《……》
ステラは息を吸うと静かに話し始めた。
《……その魔法競技大会で必ず上位に入りなさい。そうすればクラスに何人か編入してくるわ。あなたがこの先バレずに卒業するには仲間が必要。つまりあなたの頑張り次第でこれからの学園生活が変わるのよ。もし上位に入れなければ……わかってるわよね?》
「……ステラ=シルフィードではないとバレるってことだろ?」
《そういうこと。ではごきげんよう。お待たせ私の大好きなシュリンプさん!》
ブツッ!ツーッツーッ……
通話が終わった。しかし上位か……。正直厳しい気がするがやるしかないか。そんなオレの様子を見て通信魔法具を預かりながらリリスが言う
「あのエリック様」
「ああ?なんだ?」
「私はエリック様ならなんとか出来ると思っていますから」
「あっそ。まぁやるしかないだろうからな。もう寝るわ」
「はい。おやすみなさいエリック様」
とりあえず新入生魔法競技大会でなんとか上位に入らないとな……そんなことを考えながら眠りにつくのだった。
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