第1話 運命のカードに身を任せる

俺は折り返しの電話をするために携帯のボタンをタッチして純弥を呼び出す。


4回くらいコールしてから純弥の携帯に繋がった。


「もしもし純弥。どうしたん。」


【刃。待ってたぞ…】


純弥の様子が可笑しい…とてもじゃないがいつもの純弥じゃない。いったい純弥の身に何が起きたんだ?


「ちょ!ちょっと純弥!いったいどうしたん?!」


【は…】


「は?!」


【腹が…】


「腹がどうしたんだよ?!」


【腹が減った…】


俺は大阪の新喜劇みたいに盛大にズッコケたのは言うまでもない。


「なんだよ?!驚かすなよ!!」


【とにかく…飯を…飯を作ってくれ…くっ!】


純弥との連絡はここで途切れてしまった。って言われてもただの空腹だから大した事はないだろう。


「ん~…取り敢えず純弥の家で飯を作って食うか。」


そして俺は財布と家の鍵を持って玄関に鍵を閉めて純弥の住むマンションへと向かう。


そろそろ腹の虫が煩くなってきたな。あぁ~…腹減った。


そんで俺は歩きで純弥のマンションに向かう。俺のアパートから純弥の家まではそう遠くないから歩きで充分だ。


「全く…純弥のやつ。料理くらい出来るのになんで俺にやらせるのかな~?」


ってか、この前それをソックリそのまんま聞いたら『お前の料理の方が美味いから。それに料理人になるんだろ?別に良いだろ?』こんな事を言ってきやがった。


まぁ別に純弥のやつが喜んでくれるなら良いけど何か違う気がするんだよな。


あっ。アイツん家にまだ食材があるんかな?あれば良いんだけどな。それに何を作ろうかな?洋食にしようかな?和食にしようかな?中華にするのも良いよな。


「はぁ…それは純弥ん家の冷蔵庫を見てから何を作ろうか決めよう。」


何を作ろうかを考えている内に住宅街の一等地に堂々と建っているマンションを見付ける。そうここが純弥が1人暮らしをしているマンションだ。


その堂々と建っているマンションは高層マンションで純弥はその1番上に済んでる。夜になると夜景が綺麗なんだよね。


それに上に行くときはエレベーターで出入り口には防犯カメラだし。


そんな事はどうでも良いとして俺は出入り口に行き目の前に数字の書かれた番号がある。部屋の番号を打ち込んでインターホンを鳴らすんだよね。


俺のアパートのインターホンはそろ寿命なのか音の出が悪いんだけど。


俺は純弥の部屋の番号を打ち込んでからインターホンを押す。


【刃か。入って良いぞ。】


「はーい。」


すると出入り口が開いて俺は高層マンションの中に入る。


「それにしても、いつ来ても綺麗な内装だよな。」


手入れが行き届いていて、いつ来てもピカピカにされている。そして俺はエレベーターを見付けてエレベーターに入って純弥の居る頂上の行き先ボタンを押す。


エレベーターはどんどん上に行くが、いつも思うんだけど中々辿り着かない。つまり長いんだよね。


エレベーターから外の景色を見ているが段々と何から何まで小さくなっていく。


「まるで人がゴミの様だ!」


別に良いじゃん。俺1人なんだし確かに中2病かもしれないけどさ。言いたくなる衝動ってあるじゃん。


そう自分で自分を少し痛々しく惨めになりながら言い訳をしていると目的の頂上に辿り着いてエレベーターの扉が開く。


そしてエレベーターの目の前には純弥が出迎えてくれた。


「刃…腹が減った…」


「第一声がそれかよ。食材はあるのか?」


「沢山あるから刃が腕を奮って料理が出来るぞ。」


「おーい。少しは手伝ってくれても良いだろー?」


そんな事で純弥の部屋にあがり込む。するといつ見ても広々としたリビングに純弥の綺麗好きなのか掃除が行き届いている綺麗な部屋。


そしてピカピカに磨かれた様なフローリングに大きい液晶テレビ。そしてインテリ感が漂う机に机の上にはパソコン。


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