第18話

 令嬢が帰ったので、俺はボスに聞きたいことが有ったので質問してみる。


「一般の人でも奴隷は手に入れられるんすよね?皆んな奴隷を所持してるもんなんすか?」


「いや?そんなには居ないだろうな。せめて一晩買うくらいだな。さっきお前も聞いたように、奴隷を買い取るには返済額の1/3を支払う必要がある。だからまず、その金が用意できない。それに惚れた娼婦が居たとしても、長くても10年待てば下級市民だからな。それから結婚しても十分だろう?」


「でも無理すれば買えるでしょ?買えばそれ以上の金が手に入るんすよね?」


「お前、金銭感覚麻痺してるな?お前らみたいに1日金貨で10枚以上稼ぐ下町民が何人居ると思うんだ?中町民でもそんなに居ねーぞ?普通下町民で銀貨10枚位の日銭だろうよ!」


 確かにそれだと奴隷など持てるはずもない。持てたとしても商家ぐらいなものか。それと貴族か…。


「あとそうだ、お前の新しい部屋、用意しているから少し待っとけ。裏の家を買い上げたから拡張したらお前専用で使える部屋を作るからな。フィンに特注ベット頼まれてるからな。今の部屋じゃ入らねーからよ。ちなみにベットはお前の借金だからな?」


 なんと!俺専用の部屋だと?!そして特注ベットって!俺、王様にでもなった気分なんだが?本当に奴隷ってこれで良いの?


「これは特別だぞ?普通じゃ有り得ねーんだが、お前は額が額だからな。何かあっちゃーたまらんからな!毎日皆んなとヤリまくれるな!ガッハッハ。どうせ他の奴らも返済終わっても出て行かねーだろうからな…ひと部屋に詰め込めるならそれはそれで助かるしな」


 ほほう。出ていかなくても良いのか?それともこの娼館が特別?ボスの言い方だと、普通に皆んなが出ていかないと思っているのだから、よく有る事なのだろうか。


「それとこれを渡しておくわ。指にはめて絶対に外すんじゃないぞ?認識阻害の指輪だ。フリーサイズだから自動で大きさが変わるからな。お前の意思以外では絶対に外れない指輪だ。指をちょん切られそうになってもこの指輪が守ってくれる。これもお前の借金な?ガッハッハ」


 そう言って俺に指輪を放り投げてきた。もう多少借金が増えても気にならない。


 返済金と借金は別で、俺の稼ぎは先に借金から減っていく。今の所2日間での収支は、


 収入 1日目 金貨 4.4枚

    2日目 金貨10.6枚

    合計  金貨15枚


 借入 チョーカー      金貨30枚

    イヤリング      金貨10枚

    装備          金貨6枚

    フィン(1時間) 金貨0.02枚

    ラミ(1時間) 金貨0.034枚

    ミア(1晩)  金貨0.085枚

    ギルド関係       金貨1枚

    ベット(特注)     金貨3枚

    指輪(認識阻害効果)金貨100枚


    返済         金貨15枚

    合計    金貨135.121枚


 返済金1ガルドも減らずに、借金が135枚もあるぜ…まあ最初は色々と入り用ですからね?これから頑張って減らしていくぜ!


 と言うか指輪高くね?こんなもんなの?効果付与指輪になるのだろうし?


「そういえば翻訳眼鏡みたいな物ってないんすか?文字を読めないのはメッチャ不便なんだけど」


「ん?あるぞ?欲しいなら今持っているがどうする?金貨20枚だぞ?」


「あるんすか?!マジ欲しいっす!借金でおなしゃす!」


 そう言って眼鏡と木箱を受け取る。片目に嵌める紳士や、怪盗タイプの眼鏡なので、常備はせずに必要な時だけ装着しよう。


 後は頭装備位だな。今日はソラに陣鉢を借りているけど何時までも借りている訳にはいかないだろうし。そう言って更に金貨1枚を借りました。もうね、ボスは俺の財布でしょ?って感じになってきてますわ…。はい…。


 その後部屋に戻り、待ってくれていたメンバーとミアに貴族令嬢の話しをしながら、明日の朝一で防具屋へ行きたい旨を伝える。右腕にはラミが、左腕にはフィンがくっ付いてくる。


「アタイらのユータを買いに来ただと?幾らだと思っていたんだ、そいつは?」


「本当ですよまったく…アタシのユータさんを買おうだなんて!」


「まあ、フィンとアキも落ち着け!令嬢は金額を聞いて顔色悪くなっていたからな。逃げ帰って行ったぜ!」


「そりゃあそうだぞ?金貨で10万枚なんて聞いたことないからな?」


「全くですよ…ボク何人分になるのだかですよ…」


 そんな事を話しながら、俺の専用部屋の話になる。


「えーそれは凄いね!ワタシも解放されたら住み込むからね?いいでしょ?」


「ミアだけじゃないよ?当然ウチも最初から最後まで住み込むからね?」


「あぁ。皆んなで住もうな。それにベットは特注らしいぞ?」


「やったぜ!アタイの希望通りになったんだな!楽しみだぜ!」


「フィンの希望で俺の借金が増えたんだぞ?まあ良いけど」


「ユータさんなら、多少借金が増えてももうそんなに変わらないですね?アハハハ」


「アキの言う通りなのですよ。何ならボクを買い上げてくれても良いのですよ?」


「アハハ、俺が借金して人の借金返済してどうするんだ?意味あるのか?」


「当然意味はあるぞ?ポムは返済金残り150枚くらいか?そうすると買い取りで金貨で50枚。国に75枚払わないとだけど、ユータは2倍稼げることになる」


「ん?ポムは後金貨で150枚なの?今のペースならたったの15日じゃんか。それなら魔法使いの練習しないほうが良くない?ジョブ変わったら価値も変わっちゃうじゃんか。と言うか、皆んなもそうだぞ?危なかったわ…俺としたことが…」


「は!ホントなのですよ!危なかったなのです」


「俺的にはミアを買い上げて魔法使いに成れれば一緒に稼いだ方が良いのかな?」


「ワタシの残りは金貨70枚位だよ?買い上げで金貨24枚、国に35枚。でもパーティーに1人増えたら皆んなの取り分が減っちゃうよ?」


「でも一人分、約200キロの肉と草がカバン1つ増えるからな。取り分としては変わらないんじゃないか?いや、ギリギリ減るかな…やはり皆んなで早く解放されたほうが早そうだな」


「ボクはすぐに解放されるのですよ。そうしたらボクの分は食費と背負子代以外はユータ君にあげるからね?」


「それは有り難いけど良いのか?自由になれるんだぞ?好きに生きれば良いのに」


「だからユータ君と一緒に居たいのですよ。それがボクの好きに生きると言う事なのですよ」


「私もそうだぞ。ポムの次は多分私だからな。私もユータとずっと一緒に居たいと思っているぞ?」


「アタイも」「ウチもだよ?」「私もです」


 と皆んなそう言ってくれた。


「マジでスゲー嬉しいわ…皆んなに返せる物なんか何もないけど、どうすれば良いんだか…」


「じゃあ身体で払ってもらうぜ!よし皆んな、ユータの服をを脱がせようぜ!ギャハハ」


 そう言って服を脱がされた俺は、1人ずつ抱いていくのであった。




 異世界4日目の朝。流石に6人いっぺんはキツかったわ…横にはフィン、ラミ、アキが眠っている。ベットの大きさ上、7人で寝るのは無理があったので、他の3人は自分の部屋に帰った。またミアの分の借金が増えてもた…


 ミアの分は1晩ちゃんと買うと決めたから後悔はない。それがミアのメインの仕事だからね。パーティーメンバーの様に俺が加入した事で稼ぎが跳ね上がる訳でもないから。


 そんな事を考えていると、今日はラミが1番最初に目を覚まして俺に抱きついてくる。


 この朝の抱きつきって、とてつもなく気持ちよくない?身体はメッチャ温かいし、メッチャ良い匂いしてくるし、ムニャムニャ言っているし。当然その後はお察しで。


 それよりも俺の匂いは平気なのか?身体は水で濡らしたタオルで拭くくらいしかしていないし、マジで石鹸は必要だよな…。石鹸って確か…灰と油と何だっけ?水だったかな?何をどうするのかは覚えてないけどな。


 重曹が有れば簡単なんだっけな?いやーマジで覚えてないわ…。それよりも灰を身体にまぶした方が早いか?何処かの民族がそんな事をしていた様な…。携帯で調べられたら良いんだけどな…電波無いしな……あれ?漫画アプリで、ダウンロード済みの本ってオフラインでも読めなかったっけ?……いや、止めておこう。


 だって冷めちゃうわ…。


 灰で良いんだ灰で!!


 











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