波乱

第50話

零さんはもう片づける気すらない。私も雑誌を広げて読んではそのままにして、2人で散らかしている。このままでは餅月さんの部屋みたく汚くなってしまうんじゃないの?それだけは避けたい。


私は最近仕事が入っている。まだ小さいページなんだけど。福岡ではフリーペーパーの表紙とかポスターとかの仕事もしたんだけど。逆に売れてないような気がしてる。


最近、まなさんは撮影がない。というのも大学に行っているから。新学期だからみたい。そのために私は萩原さんと2人である。アシスタントさんもいるから全然いいけど。

撮影したものを現在チェックしていた。


「もうちょっとポーズ変えてみていいですか?」


「いや。これでいきましょう」


「そーですか」


せっかく私が意見したのに!


「怒ってますか?」


「は?怒ってませんけど?」


「顔は笑ってても口調は荒いですよ?」


笑顔で言う萩原さん。余計なひと言多いなこの人!


「じゃあ次の服着てきますんでー」


私は着替えとメイクを整えに行く。


「ほのかちゃん。着替え大変だね」


田中さんが優しく言ってくれたけど、食事会で餅月さんを押し付けたのはやっぱむかつきます。けど言わない。


「はいー。メイクお願いします」


「まかせて~」


「あれ?ほのかちゃんなんか悩みごと?ぼーっとしてるよ?」


餅月さんも加わってメイクをしてもらう。この人、セクハラしたの覚えてないんか!酔っ払いめ。


「いえ、特には 」


「ね、萩原にむかついたら蹴飛ばすのよ?いい?」


田中さん。さすがに私それはできない。

セットが完了してまた萩原さんのところへ。そしてまた着替え、撮影という作業。もーやだー!


「お疲れ様。今日はここまでで」


「そーですか」


「この後食事とかどうですか?」


「え、また田中さん達とですか?」


酔っ払いの餅月さんも?嫌なんですけど?


「いえ、2人でです」


「お断りします」


「そ、そんな」


「あの、私と食事に行きませんか?」


…どこからともなくクレアさんが現れた。


「えっと、なぜ?」


「私もう撮影終わったので」


「クレアさんは新学期なんじゃないんですか?学校ありますよね?」


萩原さんも話に入ってきた。確か、高校生だったよね?


「私はとても優秀だから大丈夫です」


「え」


そうじゃねーよって思ったけど、萩原さんと2人固まってしまった。私はって…ちょっと嫌みっぽいんですけど。


「さ、ほのかさん、食事行きましょう!ね?」


「え、今からですか?」


「はい。萩原さんも可哀想ですから一緒に行きますか?」


「はい」


可哀想ってなんだよ。そして否定しない萩原さん。

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