雪の歌

ささやかな贈り物


小雪に小粋な気のいいあの白い雪


嘘臭さの漂う、小さな涙雨


徐々に強くなっていく、小粋なドラマの一場面


一つの茶碗


一本のろうそくが静かに、揺らめく。


消えるか、消えない。


それでも消さない。


雪、好き、追っていた、黄昏の夢を、白い世界。


もう、帰れない。


中也。「俺の心は汚れている」


それでもいいか?


問いかけても、君はもういない。


黄昏ちまった悲しみに、今日は小雪が舞い落ちた。


はらり、はらり、と一人の涙が、地面を濡らす。


ふふっと笑顔で、クルリクルリとまわり踊って、世界を躍らせる。


さあ、中也、そして、それ以外の世界にいる、雪のささやかな、光。


チープな、飾り付けられた、クリスマスツリーなんて、いらない。

そう、外はホワイトなホワイトなゆき雪崩。

なあ、中也。「僕の心は清められる?」

静かな、心に降ってくる、この雪を、みんなで、見つけよう。

その中にある、白い雪、そして、本当に白い雪。それはどこ?

どこにもない。

目に見えない。何も見えない。でも、確かにあるはず、雪崩が、おしよせる雪崩れがおしよせる。

幻影の、黒い雪。

それを見つけよう。そして、君を救う、雪たちの天使が、君と僕を神様のもとまで、送ってくれたら、手紙を書こう。きっと、信じることさ、なあ中也。僕たちの心は汚れちまってるから。

このままどこまでも、逃げよう。

ずっと、永遠の安らぎの中へ、二人で行こう。

そして、色とりどりの花束を、送る。

天にいるか、中也。いないよね。君の写真の奥に灯る者は、きっとフックのきいたリフ

そしてボディーを打って、拳を叩きつける。白い大地に。

雪の精、雪の性、そう、ラブコール。送り続ける光の反射、美しい乱反射。そして、反射的に反応する官能。

なあ、中也 

俺たちはイエスに憧れてたか?

ちがうよな。

ただ詩を書いて、生きてきただけだよな。

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