第19話

緊張してきました・・・大体においてわたくしは夜会や晩餐会などの綺羅びやかな場所に出ることが苦手なのです・・・。


できれば遠慮してお部屋で休んでいたい・・・


でも、この夜会については多分・・・多分おそらくわたくしの歓迎の意味を込めたものだとおもわれますので仕方ありません。




兄達はそれぞれに人に捕まっております。


そりゃそうです、我がエルロッドウェイは医療国により色んな国とのやり取りがあります。


兄達は次期皇国国王そしてその皇国の宰相がきまっているのですから今のうちに顔つなぎをしておきたい人もたくさんいらっしゃると思います。


わたくしのほうはのんびりと晩餐会でのお料理をいただくつもりだったのですが、晩餐会というよりも完全なる夜会と化しているこの状況。だがしかしお料理はとても美味しかった!!


たくさん食べるわけにはいかないので、少しずつを一口づついただきました!!


素晴らしいお料理たちでした。




で。




その後の私なのですがなんと壁の花になっております。






目立たず騒がずがモットーのわたくしですので、なんとか逃げ切れるかと想いきや。


色んな男性の方に話しかけられて軽くパニックに陥るということをくりかえし。


わたくしがとりあえず淑女教育は受けていてもどうしても慣れないのが人見知り。


王族で人見知りなぞ許されないことなんですが人見知りなものは仕方ありません。


ひとみしりというか、正式には多分人選び。


わたくしは悪意が見える方やわかりやすいテンプレな悪意の方はなんとなくかわせるのですが非常に疲れてしまうのですよね。


いつも甘えて後ろに隠れている弊害がここに来て・・・。




お兄様たちの眩しさから言えばわたくしなんかかすんでしまいますけどねぇ・・・。


お母様が必死で淑女教育をしてくれましたがどうしても夜会や晩餐会といった華やかな場所にはなれませんでしたね・・。


まあ、この神託が下ったことでお救いする方が国王陛下という同仕様もない高みな方だったためこんなところにいますが別のお方だった場合はまた他の能力が必要だったと・・・。


それにしても淑女教育のほうが圧倒的に多かったような・・・。


まあ、護身術もそれなりに合格点まではいただけましたけどねぇ。






ですが壁の花です。もはや壁にくっつきまくりです。


見かねたロウがさっきからつきっきりでそばにいてくれます。


なんと助かることか・・・さすがわたくしのもうひとりのお兄様です。


血はつながっていませんけれども。




「レーヌ様、しっかりしてくれないと困るんだけどなぁ。」


と後ろから睨みを効かせている。


多分なんだけど、これはお兄様たちからの命令に近いと思われます。


「ねえ、ロウ。エリーゼは怒っていない?」


「怒っていないか怒っているかで言ったら怒っているなぁ。」


「やっぱり・・・。」




ロウとエリーゼはとても仲良しの夫婦です。とてもじゃないけど引き離すのもどうなのかとちょっと考えてしまうくらいには仲がいいのです。


ロウは笑いながら言う。


「ああ、違う違う。ドゥーゼットに来ること自体もここに残ることも、レーヌ様の近くを護ることも納得してくれているし応援もしてくれている。ただ。


自分もドゥーゼットに来たかったんだよ。んで、こちらでレーヌ様の手伝いをしたかったの。」


「え?わたくしの?」


「そうそう、だってエリーゼ、レーヌ様大好きだから。レーヌ様専属の看護師みたいなもんだろ?」


「違うわ、専属はあなたの専属でしょ?騎士様?」


「まあ、レーヌ様にだって譲る気は無いけどねぇ。うちの嫁かわいいでしょ?それこそもう誰よりも世界一愛らしいんだけど。」






困りましたわ。スイッチを押してしまったかのように話し出してしまうのはいつものことなのですがわたくしが聞いてしまったからには全て聞くのが責務でしょうか・・・。


お兄様達を見るとわたくしと目が合うと合わせて蕩けるように微笑んでくださいます。


ああ、周りのお嬢様方が美しい繊細な扇でお顔をかくしていまわれております。


きっとお兄様たちの笑顔にあてられてしまいましたのね。


わたくし兄ですので慣れておりますが、たしかに直撃を受けるとわたくしでさえ胸焼け・・・いや、甘いと思いますものね。


私もここでしばらく過ごすのですから良い印象はもっていただきたい!ということで同じく微笑んでみますがあちらの方々が更に固まってしまったかのようです。


いったいどうされたというのでしょうか・・・。






そもそも。


ニコニコと笑いながら、話している私達を遠巻きに見ている方々は、ロウの方をチラチラと見ているお嬢様方もいらっしゃいます。


先程聞きましたがどうやら我が国は美男美女が多い国らしいので(ひとごとのようです)仕方がないとも思われますが・・・。


今回は男性の方々も多数見ていらっしゃるのを感じます。


私の着ているドレスが物珍しいということでしょうか?


こんな時にサラがいてくれたらいいのだけれど・・・。


侍女であるサラの入場は許されていないわけではないのだけれど彼女は今回お留守番を決め込んでいるのです。


影の皆様方との情報共有という名のお茶会を開催すると張り切っていたので置いてこさせられたのだけれども。誰にって?サラに。


どうしてわたくしよりサラのほうが強いのかしら・・・?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る