第22話 叔母の死去

9月末の某日

緊急転院していた叔母が亡くなった。

叔母の自宅を尋ねると、穏やかな死顔デスマスクの叔母が布団に入っていた。


生前は、色々と可愛がってくれた叔母。

所謂、流行病某コロナの影響で、老人ホームから病院を転院していた頃は、面談することはかなわず、生前お会いできたのは、老人ホームから最初の病院に入られる半月前の事だった。


両親(男の祖父母)を除き、ほとんどの親類が県外に引っ越してまった中、男が県内に残っていたという事もあったのだろう。

叔母さんの所へ遊びに行けば、本当に可愛がってもらっていた男。


男が自宅を構えると、若干住まいが遠退いてしまったこともあり、ご無沙汰することも多かった。


そして、月日は流れ、今日という日を迎えたのである。


不思議と涙は出てこなかった。

むしろ、辛い入院生活から抜け出し、ゆったりとした世界に引っ越して行ったのだと思える、実に穏やかな死顔デスマスクだった。


本日は通夜。

明日は葬式。


今は冷静になっているが、火葬が終わり、拾骨の段階になったところで、果たして冷静でいられるか…甚だ心配なところである。


男泣きが許される数少ないシチュエーションではあるのですが、何だか我慢しないとという、謎思考に今晩苛まされる男である。

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