Ⅱー8.我慢

 真面目にデッサンしている美術部員も健太の『モノ』の変化に気づき始めた。

 それはひくひくと動きながら、大きくなり、上へ上へと向きを変えている。

 香織と美穂にとっては、待ち焦がれていた瞬間である。一旦描いたその部分を消しゴムで消すと、激しく鉛筆を動かし始めた。

 極限まで勃起したこの瞬間を描こうとしているのだ。


 やがて、『モノ』にある変化が起きる。

 透明な液体がその先端の穴から溢れ始めた。

 美術部員の女性たちは、モデルがおしっこを漏らしているのかと思ったが、その液体は流れずに尿道口の辺りに溜まっている。

 皆が凝視する中、液は量を増し、糸を引いて垂れ下がった。尿とは違う粘り気のある液体だ。


 おしっこでも精液でもない通称『我慢汁』と呼ばれるものがあることは男性経験の少ない人でも知っている言葉だろう。今、健太のペニスから流れ出ているのは正にその我慢汁であった。

 美術部員の中にはフェラチオが得意だと自慢しているものもあった。知らず知らずのうちに口の中にそれが入ったこともあっただろう。

 しかし、誰しもこんなふうにそれを見るのは初めてだった。

 皆、先端から3㎝ほどの長さに垂れ下がったものを不思議そうに見つめている。

 

 即席美術部員は面白がってそれを見入っていたが、一方、部長の麻美は困惑していた。

 教室の床に変なものを垂らされたら困る。万一、臭いが残ったら他の生徒、教授から美術部はなにやっているんだ?と言われかねない。

 麻美はこの我慢汁をなんとかしなきゃと考えた。

 ふと、彼女はハンドバッグに汗拭きシートが入っているのを思い出した。

 それを一枚取り出し、その液体を拭く作戦だ。

 他の部員の視線を遮らないように気を付けながら、健太の左側から彼に近づく。

 そして、「動かないで下さいね。」と一言声を掛けると、

 直接チンコに触れないように注意しながら、垂れ下がった我慢汁に汗拭きシートをあてがってみた。

 麻美はシートが液を吸い取るのを確認すると、手を放して、もう一度その先端部分を確認する。

 しかし、すぐにまた透明な液体が1cm程垂れてしまった。尿道口の先っぽに液が溜まっているのだ。

 このままだと、そのうち零れ落ちそうに思える。


 麻美は先端部分に溜まっている液を全部拭き取らなければと思った。

 といっても直接ちんこに触るのは憚られる。

 麻美は、手で触らずに汗拭きシートだけで先端部分を拭く方法を考える。

 シートを半分に折って角を作り、その先端部分をチンコの先端に押し当てればよさそうだ。早速試してみる。

 健太にとって運が悪かったのは、柔らかなティッシュペーパーではなく、硬い汗拭きシートだったことだ。

 麻美が差し出したシートの角が敏感な亀頭尿道口に触れると、ぴくっとそれが反応して上下に揺れた。


 麻美はその反応に少し驚いて健太の顔を見つめる。彼は困ったような苦しいような顔をしている。

 麻美は、「じっとしていて下さいね。」と声をかけると、

 シートの角を尿道口にしばらく押し付けてから離す。

 それから、もう一度亀頭をじっくりと見る。しかし、思ったより液の量は減っていなかった。


 おかしいな?と思い、もう一度やってみることにした。

 汗拭きシートの向きを180度変え、使っていない方の角を押し当てる。

 すると、またもぴくっとする健太のナニ。

 麻美が再び、健太の顔をみるとさっきよりもさらに苦しそうな顔をしていた。

 それから亀頭を見ると、やっぱり液の量は減っていない。

 そこで麻美は気づいた。汁が後から後から流れ出ているのだ。

 これではきりがない。

 麻美は「液が…垂れているので…拭きますよ」と口ごもりながら宣言すると、意を決して、指で亀頭にシートを押し付けた。

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