第2話
中には台所で使う物が入っていて、最近人気のお助けグッズも多い。
まだまだ料理が下手な心夢美にとっては必要不可欠な大切な仲間だ。
「ようやくこれで最後だ~。よっ、と!」
気合いと共に箱を抱えてアパートの玄関を開けて外に出て、それから中を見ると何も無くガランとしている。
自分が初めて一人暮らしをした思い出の部屋なだけに、急に寂しさが湧いてきた。
な、泣きそう…。
けれど、感傷に浸っている暇はない。
思い出にはこの一週間十分に浸ったではないか、と自分に言い聞かせ
「今までありがとう」
そう呟いて心夢美は玄関に鍵を掛けると、気持ちを切り替え踵を返した。
それから箱を抱えて無心で階段を降り始めた時だった。
にゃーん―と聞き覚えのある鳴き声に心夢美はギクッと青ざめた。
「えっ、えっ?ちょっと、どこどこっ?!どこに居るのっ!?」
声はしたものの姿は全く見えない相手、猫は既に足元に居た。
「わぁっ!!」
小さく悲鳴を上げた心夢美は箱で下は見えないけれど、その足にすり寄る感触に硬直した。
相手は町内で有名な猫屋敷に住む猫で、名前をネコタ(心夢美命名)と言う。
ちなみに初めて部屋にネコタが侵入し驚いた時に「わっ、猫だ!」と思わず悲鳴を上げたのが名前の由来だったりする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます