蟻と螽斯

 これはイソップ寓話にあるお話の一つだ。もちろん、著作権が切れているので誰が使っても良いものだ。早速、私も紹介させていただこう。



 暑い日差しが身体を焼く中、蟻はせっせと働いていた。


「おやおや蟻君。ずいぶんと大きな物を運んでいるね。一体どうしてそんな事をするんだい?」

「私は冬に備えているんだよ。そう言う螽斯さんは何をしているんだい?」


 自慢気に楽器を見せてこう言った。


「楽器を弾いているのさ。そっちの方が楽しいだろ?」

「冬の準備は?」

「しないよ?その時に考えればいいさ」

「そっか」


 そして、冷たい冬が訪れた。


「蟻さん。助けてれないかい?」

「いいよ」


 蟻はあっさり承諾し、家に入れた。



 ところで、こんな話を聞いた事があるだろうか。


 アリは瀕死状態のバッタ目の昆虫を巣に連れ込み、水等を与え延命させつつ少しずつ体液を吸いとり、体液がなくなってから体を食べる。


 つまり、このお話の教訓は助けてくれる人が良い人とは限らないという事だ。



〈終〉

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