第10話
詩音、翼、遙の3人は昼食を食堂でとろうと教室を出て廊下を歩く。
「なぁ!詩音!はぐれるとダメだから手をつなごうぜ!」
「おいっ!遙っ!お前何を言ってんだよ?!ダメに決まってるだろ?!」
「翼には俺は言ってないぞっ!俺は詩音に言ってるんだ!」
遙が詩音と手をつなごうと手を差しだすと、翼が詩音と遙の間に即座に滑り込みながらスッと手をはたき落とす。
はたき落とされて手をさすりながら遙が頬を膨らませながら文句をいうと翼はふんっと鼻で嗤い頭一つ分以上小さい遙をわざとらしく見下ろした。
遙も負けじとそんな翼の顔を目を細めながら見つめる、
「あ、あのっ!僕、迷子にならないから大丈夫だよぉ?心配してくれたんだよねぇ、ありがとう。遙!」
そんな2人のある意味息が合っている掛け合いを見守りながら、遙の好意が嬉しかった詩音はお礼をにこりと笑みを浮かべながら言う。
詩音にお礼を言われた遙は機嫌が良くなり「へへっ」と口元を緩ませる。
それを翼が面白くなさそうに眉を寄せた顔で見つめ、そんな翼の様子を気付かないふりをする詩音。
そんな3人はやっと食堂に到着する。
空いている席に詩音が座ると詩音の隣に席の椅子を背もたれを持つ2人の手が重なり合う。
そこで甘酸っぱい青春の始まりが起こる展開など起こるはずもなく……。
机に座る席順で何故か翼と遙が真剣な表情でじゃんけんをしている姿を苦笑いで眺める詩音。
「しーおんちゃん?やっと見つけたわ!」
突然、影が差し込み上から声が降ってきた。至近距離に気配を感じた詩音が驚き振り返る。
そこには先日出会った瞬間に詩音に思いっ切り殴りかかってきた副風紀委員長『
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