綿菓詩

soupan

第1話 秘密基地




 私が小さい頃


 秘密基地に憧れた


 そこは部屋のタンス


 いくつもの布団をどかし


 懐中電灯を片手に


 タンスの襖を閉める


 真っ暗なタンスに夢が広がる


 友達とはしゃぎすぎて


 秘密はバレた


 


 秘密基地に憧れた


 そこは旧校舎体育館裏の崩れかけた小屋


 屋根のあちこちから差し込む陽光


 僕らはそこで夢を語る


 ここに棚を置こう


 ここにテレビを置こう


 ここにソファを置けば


 そこは子供の夢


 自由帳に見取り図まで描いた


 友達と考え


 描いた夢はキラキラしていた


 だがそれで満足


 


 秘密基地に憧れている


 今も尚


 あの頃描いた夢を


 僕らは築く


 そこに棚を置いて


 そこにテレビを置いて


 そこにソファを置こう


 見取り図はないけども


 頭の中に思い描いた


 幸せのパレット


 妻のお腹に手をあて


 「今日からここが君の秘密基地」


 


 秘密基地に憧れてほしい


 描いてごらん


 自分だけの


 秘密基地を



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