ギャルと剣くん 〜なんか異世界に飛ばされたっぽいケド、超イケメンな相棒(剣)が(オートで)無双するので、マジであーししか勝たん〜
空夜風あきら
第一章 異世界一日目
第1話 ギャルJK、異世界の地へ
「は?」
気がついたら変な森の中に居た。
いや、どゆコト? なんで森? あーし普通に学校から帰ってたハズなんだけど。
いやマジここどこ? 森じゃん。森に来た覚えとかねーんですけど。
周囲を見渡すけどマジで森。ワケ分かんない。
しばらく
ワケ分かんないけど、とりあえずスマホで誰かに電話しよ……。
「いやスマホねーんすけど」
ありえなくね? スマホ持ってないのはおかしい。
あーしは自慢じゃないけどスマホは常に肌身離さず持ち運んでる。つーかスマホないと死ぬ。五分でも体から離したら死ぬから。
そんなあーしがスマホ無くすとかありえん。これはゼッタイ何かの罠でしょ。
「つーかカバンも無いし。てか何も無いし。……いやなんかあるわ」
カバンも何も持ってないかと思ったら、一つだけあった。
足元にあるこれは……、剣??
いや剣だわ。剣。なんかやたら装飾がゴーカな剣。鞘に入った剣が足元に落ちてる。
「え、何これ。なんで剣?」
そう言ってみても、誰も返事をしてくれる人は居ない。
周りは森だし、人の気配はまったく無い。するのは鳥かなんかの声。聞いたことないような鳥っぽい鳴き声がギャーギャー言ってる。
てかうるさ。ナニこの鳥。聞いたこと無い鳴き声でうるさいのマジウザいんですケド。
つーか剣だろ剣。なんで剣とか落ちてんだよウケる。
とりあえず拾ってみる。見た目からして重いかと思ったんだけど、
「なんかミョーにしっくりくんなコレ」
こんな剣見るの初めてなんだけど、持ってみたら初めて持ったような気がしない。まるで前から自分の持ち物だったみたいな感覚。
いやいや剣の持ち物とかないから。剣持ってる高校生って何? そもそも日本刀とかじゃなくて外国の剣でしょこれ? いやまあ日本刀だとしても持ってるワケ無いけどさ。
とりあえず鞘から抜いてみる。まあ、抜くでしょ。剣あったら。
ちなみにあーしは高校でテニス部に入ってる。今日も部活やってから帰ってたわけなんだけど、ラケットとかは部室に置いてきたんだけどね。
いやいや、今はラケットの話より剣だよね。
つってもまあ、剣は剣としか……。パッと見は、かなりつよそーだけどコイツ。
いやなんか
ナニそれ
適当に振ってみる。
けっこーな長さあるけど、片腕で問題なく振れる。
なんか感覚が不思議。なんて言えばいいのか、重くは無いんだけど、軽いワケでも無いというか。マジでなんていえばいいのこれ。よく分かんないけど、フツーの剣じゃないことは確かだわ。
タブン強い。いやゼッタイ強いわこの剣。
剣を鞘にしまって、とりあえずこの剣は持っていくことに決めた。
すげー馴染むからたぶんコレあーし用でしょ。まあ、落ちてたワケだし、あーしが貰っても問題なくね?
もしも持ち主が現れたら、その時はちゃんと返すわ。どっちにしろこんなトコに置いとくよりは持ってったがいーっしょ。
ん、けってー、決まりね。
剣を持ってみると、なんだか気分がスッと軽くなった。
ショージキさっきまでは、いきなりワケ分かんないジョーキョーで軽くパニクりかけてたケド、今は、まーなんとかなるっしょ、って気持ちになってる。
この剣持ってると安心感がブチ上がるわ。これならなんとかなるんじゃね。
つーわけでとりま移動。
ここにずっと居てもしょーがないし。周り木ばっかで
どっちに行けばいいのか分からないから、カンでテキトーに移動する。
森の歩き方とか分からんし、とりあえず進む!
てきとーにそれなりに歩いた。
不思議とゼンゼン疲れてない。
あれ、あーしってこんなに体力あったっけ? 部活はしてたけど、そんなにキツい部活じゃなかったけどなー。
足とか痛くなってもおかしくないよね、山道ってダルいし。でもヘーキ。あれ、あーし強くね?
なんて思ってたら、その辺でガサガサ音がした。
ん、なんかの生き物かな。今までも色々と気配はしてたんだけど、姿を見ることはなかった。
と思ったら、ガサッと出てきたのはめっちゃデケー
「いやwwクマwwwデカすぎwwww」
笑ってる場合じゃないんだケドさー、笑うやろこんなん。
だってめっちゃデケーもんクマ。あーしの身長の倍くらいあるやろコレ。いや、倍以上? 迫力ありすぎ。
こんなん車乗ってても車ごと殺されるレベル。いやちょっとナニ言ってるか分かんないけど。つまりそれだけヤバいってこと。
クッマはあーしを見て少しの間だけ停止してたけど、すぐにこっちに向かって動き出した。
なんかもう普通にやる気マンマンってゆーか、無視して通り過ぎてくれたりは絶対しないよねコレ。めっちゃこっちロックオンしてるし。
フツーだったら、こんなバカデカいバケモノみたいなクマに会ったら、心臓の弱い人とか普通に死んじゃうと思う。
立ち向かうとかありえない。こんなんトラックが突っ込んでくるようなもんでしょ。勝てるわけがない。
と、頭の中ではそう考えてるんだけど、体は勝手に
剣を鞘から抜き放ち、重心を低くして構える。
なんかすげーやる気じゃん。でもクマだよ相手、勝てるん?
人ごとみたいに言ってるけど、ジッサイ半分人ごとって感じ。
だってなんか
誰かっつーか、剣が? いやナニ言ってんのって感じだけど、マジでそんな感覚なんだからしゃーない。
とか思ってる間に、クマもう来てるよ。
クマは走りざま前足を振りかぶって、ヤバそーな爪生えた部分を叩きつけてくる。——いや、これ、死ぬやつ……
まるでスローモーションみたいに顔面に迫るそれを、あーしはタイミングよく横にスッと動いて
いやイマ躱したわあーし。ヤバ。タイミング神がかってた。もう少し遅ければ死ぞ。
てかクマ。初手で顔面狙うとかコイツマジでえげつねーな。さすがは野生のクマ畜生だわ。殺しに
クマの必殺ベアークローを躱したあーしは、そのままクマの後ろに回り込む。それもピッタリクマのそばを通って。
なるほどクマは体がでかい分、近くの方が逆に安全なのかも。まあ普通だったらビビってそんな
クマの判断は早くて、
あーしも離されないようについていくけど、クマに追いついた時には、すでにクマはこっちに振り返ってた。
クマと正面から
半歩前に出ると、クマの必殺ベアークローがくる。
しかしクマがそのツメを振りかぶった時には、すでにあーしは元の位置に戻っていた。いわばさっき踏み込んだのはフェイントで、クマは見事にそれに引っかかった。
そのまま振ってもこっちにはギリギリ届かないクマのツメに——あろうことかあーしは自分の剣を打ち付ける。
ヒエッと思った次の瞬間、あーしの剣はクマの爪を吹き飛ばした。
——嘘やんそれ打ち勝つのッ!?
一歩踏み込んで突きを三連撃。ほぼ一撃かというほどの素早さ。
突きを放ったかと思った次の瞬間には、すでにクマから身を引き距離をとっているこの
まるでクマが
クマはもう激おこインフェルノって感じで大声で吠えたかと思うと、突進して噛み付いてきた。絶対コロスという気迫とともに。
クマの牙が喉元に迫る寸前——気付けばクマの牙は宙をなぞり、あーしはクマの背中に乗っていた。
——いやイマ何が起きた? ちょっと速すぎてよく分かんなかったんですケド?
混乱するあーしをよそに体はやはり勝手に動き、クマの後頭部、頭のすぐ下辺りに深々と剣を突き刺した。
その瞬間、スイッチが切れたようにクマの体から力が抜けて、そのまま地面に倒れ伏す。
倒れた衝撃でクマの体から落ちそうになるのを、あーしは剣にしがみついて何とか
すでに体が勝手に動く感覚は終わっていた。
「え……、いや、マジ? クマ死んでんじゃんコレ」
やっべ、なんかクマ殺しちゃったんデスけど。
……いやまあ、いきなり襲ってきたクマが悪くね?
あーしは反撃しただけだし、てか剣が勝手にやったことだし。
「まー別にクマだし、いっか」
あーし別にクマ好きでもなんでもないしなー。どーぶつなら猫が好きだし。クマとか
つーか人を襲う時点でアウト。殺されてもしゃーない。これはクマが悪い。
てか剣抜けるかなコレ。深々と刺さっちゃってますケド、大丈夫?
この剣はゼッタイ回収しとかないと。こんなクマとか襲ってくる森、あーし一人じゃムリすぎてマジ無理、ホント無理。
剣は抜こうと思ったらあっさり抜けた。
血とかべったり付いてたらどーしよ、とか思ったけど、刃はキレイなままだった。明らかにいっぱい血が付いたハズなんだけど、どーしてキレイなんだろ?
ま、いっか。キレイに越したことはないし。あーしってけっこーキレイ好きなんだよね。
剣を鞘に収めて、改めてクマの死体を眺める。
はぁ、これをあーしが倒したのか……。
いや、マジで?
つか、剣スゴくね? なんなんコイツ。魔法の剣か?
まさか体が勝手に動くとは。完全に“秘剣電光丸”じゃん。ドラのポケットから出てきたんかいな。
謎すぎるけど、イマ考えてもしゃーないし、いっか。ちょー強いってことが分かっただけでオッケー、みたいな。めっちゃ頼もしいやん、この剣くん。
でも人の体勝手に操るのはちょっとアレじゃね? 無理やりとかそーゆうのは、あーしもイカンと思うし。
まあ、今回はあーしを守るためだろうから
まー、物言わぬ剣に言ったところで無駄か。——て、なんか冷静になってきた。
冷静に考えて、この
こんなクマが出てくるような森をテキトーに歩いててもヤバいでしょ。
いくら剣が強いって言っても、後ろからいきなり襲われたりしたら分からんし、そもそも謎の剣に頼るだけってのも、あーしとしては不安というか……。
そもそもこの剣どーやって動いてんの、とか分かんないしさ。
まさか電池ぢゃ無いよね? 替えの電池とか持ってねーっスよ。
んー、やっぱデカいから単一なのかな。いやいやそんなことどーでもいーし。
でもイマ頼れるのは、ケッキョクこの剣だけなんだよね……。
でも、剣が道が分からない時に役に立つとは思えないし……。
いや、そう決めつけるのは早いんじゃね? だってコイツまほーの剣だし、ドラの道具みたいなやつだし。
もしかしたらコイツ、“たずね人ステッキ”みたいな機能もあるかもしれんじゃん?
というわけで、剣を地面に立ててみる。
えーっと、誰を探そうか。ま、とりあえず誰でもいいか。とにかく人がいるところに行ければ。
いや、まずは森から出る道を聞くべきかな? 危険な森だから早く出たいし。
「さあ
そう尋ねて、あーしは手を放す。
しかし、剣くんには何も動きが無かった。
そりゃそうか……って、ナニこれ!? 一人で立ってんすケド!
そこには誰も支えてないのに、一人でに立つ剣くんの姿が。
別に地面に突き刺したわけでもないのに、倒れもせずに立っている。これって……。
「どーゆうこと?」
うーん、道を示してくれるワケでもないけど、倒れもしないってのは、どーゆうことなの?
立ってること自体は、まあ不思議な剣くんだし、そーゆうこともあるかもしれないで済むケド。
ううーん……、もしかして、聞き方マズったかな。もっと丁寧な感じで聞くべきだった?
剣くんってけっこう偉そーな感じのフインキ出してるし。神社のお参りみたいな作法がいるとか?
んなこと言われてもね、正しい剣への質問の仕方とかあーし知らないし、タブン誰も知らないと思う。
ま、いいや、とりま色々聞いてみっか。
「
そう聞いてみたら、剣くんがスッとある方向に倒れた……と思ったら途中で止まった。
これは、ワンピの骨がやってた斜め45度、あるいは
いや違う、普通に方向を示してるんだ。倒れずに途中で止まるからビックリしたじゃん。視界がバグったかと思った。剣くんって重力無視するの好きなのかな?
なんにせよ、これは剣くんが答えてくれたってことでお
とにかくあーしは、そっちに進むことにした。
剣くんを手に持ったら、なんだか引っ張られるような感覚がする。そっちの方向に進んでいけばいいってワケね。
おけ、りょ。んじゃいきまー。
ちなクマのデッドボディはそのまま放置。別にどうしようもないし。
いや、考えようによっては、これって食料になるのかな……?
たしかに、どこだか分からない場所で、食べ物の手持ちも何もないワケだから、場合によっては……。
いやいや、さっき殺ったクマ食べるとかムリだわ。イロイロとムリ。まずどうやって食べればいいのか。
てかクマって食えるん? クマ鍋とか聞いたことあるケド、鍋ねーし、ムリだな。うん。
さて、道もなんとなく分かるっぽいし、ひとまず先に進むとすっかー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます