幸運番号コント集

ruckynumber

1.ラッキーアイテム

都内の喫茶店で二人の大学生

A「もうお互い一人暮らしが始まって一年くらい経つよなー」

B「あーそっか、もうそんくらいになるか」

A「最初はわかんないことだらけだったけど、いろいろやってくうちにだんだんと慣れてくんだよな」

B「うん。まあでも、もうちょい家で母ちゃんの手伝いしとけばよかったなーって思ったわ(笑)」

A「ははははっ、確かにそれは俺も思った(笑)」

B「よかったよな、お互い何事もなく。どう? 最近の調子は」

A「いやーぼちぼちだよ。高校の時くらいにはっちゃけた元気なわけじゃないけど、まぁ元気だよ。あ、でもちょっと前にさ、俺財布落としたんだよ。そんですぐ警察行って盗難届だして何とか帰ってきたんだけどさ、中身とかばっちり抜き取られててよ」

B「うわー! マジ⁉ やべえな」

A「もうほんと最悪だよー」

B「え、カードとか大丈夫だったの?」

A「うん、スマホの中で全部済ましてるから、そこは不幸中の幸いだったけど」

B「あーね。まあそこは良かったな」

A「あとさーもう一つ『あー運ねえな』って思ったことがあってさ」

B「うん。どうした?」

A「前スマホで地図見ながらお店探してたらさ、デカい犬連れて散歩してるおっちゃんの横通った時に、その犬にいきなりめっちゃ吠えられてさ」

B「はははっ、お前なんかその犬の気の障ることしたんじゃねえの?(笑)」

A「あー二日ぐらい風呂入ってなかったからかな。臭かったのか」

B「なんで入ってねえんだよ、入れよ(笑)」

A「あーでさ、それだけじゃなくて、その拍子でスマホ落っことしちゃってさ」

B「何かと落とすなお前」

A「んで拾って見たら画面バキバキだよもおおお!」

B「テンションおかしいだろ。落ち着け落ち着け(笑)」

A「もう最悪だよー」

B「……お前さ、話す順番逆じゃね?」

A「え? なんで?」

B「いや、だって財布落とす方が一大事だろ」

A「……お前それマジで言ってんのか」(テーブルの上に少し身を乗り出す)

B「いやマジだよ。なんでそうなるんだよ(笑)。前傾姿勢やめろって。怖い怖い(笑)」

A「あー。まあそんなもんだよな」(急に満面の笑み)

B「いやそうだけど、情緒が(笑)さっきからおかしいだろ。あ、てゆうかそれよりさ、最近ツイてないんだろ? 俺最近こんな買い物してさ……」

A「ん?なになに?」

B「これだよ」(腕につけてるブレスレットを見せる)「これ」

A「あーそれ? え、なに? なんかのブランド? なんかあんまちょっと……おしゃれには見えないけど」

B「これな、前占いやってもらった時に買ったんだよ」

A「へー? 何円?」

B「25000円」

A「二万⁉ 25000円⁉ それが?」

B「いやでもすごいんだよこれの効き目。最近エレベーター凄いスムーズでさー」

A「……多分それそれたまたまラッキーなだけだぞ」

B「いやいや、絶対これのおかげだって」

A「へぇー。まぁ確かに二万払ってエレベーターが一生スムーズになるんだったら安い気がしなくもないけど」

B「あとな、これもすごいんだよ」

A「うん、なになに?」

B「じゃーん」(足につけてるミサンガを見せる)

A「あーミサンガだよね。まあ言っちゃえばただの糸だよね」

B「これ、なんと5000円」

A「高いな(笑)。え、糸だよね? 馬鹿じゃないの(笑)」

B「でもこれつけた日からさ、全然信号引っかからないんだよ」

A「いや絶対たまたまだって。てかミサンガって切れたら願い事かなうやつじゃん。もう違うじゃん」

B「あ、あとこれもさ!」(椅子に掛けておいたバッグを取り出す)

A「あーそのバッグ?」

B「いやこれ加湿器」ピッ

A「えー! あそれ加湿器だったの⁉ マジか(笑)。え、何円だったの?」

B「これなんと、10万2000円」

A「クソ高けえな(笑)。アホか(笑)。てかなに、お前加湿器持ち歩いてんの?」

B「だってこういうのって身につけないと効果ないだろ」

A「加湿器は普通家に置いとくんだよ(笑)。つぼとかもそうだろ」

B「でさ、これ買ったら」

A「うん、次は何だ(笑)。…………え?」

C「おまたせーB」

B(Cの方を向いて)「彼女ができたんだ」

(BとCがそのまま立ち去る)

A「俺も身に着けようかな……ラッキーアイテム」

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