第72話 そろそろ勉強もちゃんとしないとなと思っていたらふみちゃんがわかりすく教えてくれて助かったよ
さて、
あいつはあんまり勉強に対して自信がない様子だったのだが、現状では全然問題はないだろう。
もうちょっと自分に自信を持ってもよさげなんだが……今まであんまり褒められてこなかったんだろうな。
たとえばテストで90点をとった場合に親からなぜ100点を取らなかったのかと叱られるのと、90点ならおしかったけどよく頑張ったねと褒められるのでは全く違うからな。
ちなみに中間試験の日程は5月14日の火曜日から5月17日の金曜日まで。
その一週間前のゴールデンウィークあけはテスト準備期間なので部活動は無し。
そして結果発表はその翌週で、平均点の半分以下が赤点となり、赤点をとった場合は5月25日土曜日は補修を受ける羽目になる。
過去の傾向から行くと大体30点程度が赤点になることが多いようだ。
それを避けるのは当然として、
また高校生は1学期の成績でラベリングされ、その後どう扱われるかが決まってしまうことが多い。
ラベリングとは英語で「ラベルを貼ること」を指すが、要するに勉強ができるかできないかそれにより優秀かそうでないかの評価が定められてしまうということだな。
学生の本分は学問であるのだから、これは仕方のないことだと思う。
そしてラベリングは他人つまり教師やクラスメイトからだけではなく、自分自身に対しての評価にもなってしまう。
”高校でも勉強が理解できるから大丈夫だな”となるか”高校の勉強は難しいし、ついていけるかわからない、どうしよう”になってしまうかということでもあるし、勉強は何かにつまずいて理解できなくなってしまうとそこから先に進めなくなることが多いのも事実だ。
また、人間には普段から続けている習慣や、人に宣言したことはそのまま続けたいと思う、一貫性の法則や一貫性の原理と呼ばれるものもある。
つまり、できるとかできないというラベリングされることで、一貫性の法則が働き、ラベリングした自分に対しての評価に対してから抜け出しにくくなるのだ。
なお、一貫性の法則でも特に3つの一貫性を持つことが大事だ。
一つが態度の一貫性。
これは他人に対する態度の一貫性があるかということだが、特に立場が下の人に対して、どのような態度で接しているかということで、自分より立場が弱かったり、近い人に対しての態度は自由度が高くなるわけだが、その状態でとる態度こそ、その人の本当の態度であり、そこに本性が表れやすい。
次は平常時と窮地の一貫性。
平常時では人間的に信頼できても、窮地において取り乱したり、責任逃れをしようとしたり、自分都合で考えることなく、行動できるかということ。
これも窮地の時にこそその人の本性が表れるし窮地においても相手の立場で物事を考えることができ、冷静な対応が出来ると大きな信頼を得ることができる。
また発言と行動の一貫性も大事。
まあこれは小さなことでも約束をちゃんと守ったり、嘘をつかないということだな。
こういったことは本当に大事なんだ。
とはいえラベリングされた評価が、あまりにも本来の自分の能力と合っていないと、それはそれで苦しむことにはなるので、自分自身に対してほどほどに自信も持て、無理をしないで済むような評価をラベリングさせるのも大事なのだが。
高校の偏差値61は15%程度で、例えば中学の学年が100人いるとすると成績が上から約15番以内の人が合格できるくらいのレベルなので、実は結構高いほうであったりもする。
まあ、ふみちゃんの偏差値73以上は、全体の2%以下なので、中学の学年が100人いるとすると成績が上から約1番か2番だけが合格できるくらいのレベルで、俺とは比べ物にならないくらい頭がいいはずなのではあるがな……。
まあ、それはともかくとして、ゴールデンウィークの残りは真面目に勉強した方がよさそうだ。
まあ、今まで受けた授業ノートをすべて見直してみて「この問題は難しかったな」「この範囲は得意だったな」など、授業の内容をしっかり確認し、難しいと思ったところを重点的に復習するのが大事だろう。
という訳で翌日の水曜日。
昨日同様にパティスリーへバイトに行き、開店準備を手伝ってから
それにしても最近の
「
俺がそういうと
「それはそうでしょう。
話の合う同性の友達ができて、しかもバイトを一緒にしているときにも趣味の話ができるわけだし、今週末にはイベントに参加もするわけだし」
まあ、それが非常にうれしいことなのだろうことは簡単に想像がつくのだが……俺はあえて聞いてみた。
「中間テストは大丈夫なんですか?」
「あ、うん、大丈夫だよ。
勉強は勉強でちゃんとやってるしね」
少しばかり目が泳いでいる気もするが……まあ、話を聞く限り大丈夫なのだろう。
「なら、いいのですけどね」
という訳で、バイトを上がって自宅へ戻るとふみちゃんがニコニコしながら待っていた。
「お帰りなさい」
「あ、うん。
ただいま、わざわざ俺が帰ってくるのを待っていてくれたの?」
「うん、だって昨日は帰ってきてくれなかったからね」
「あ、うん、それはごめんね」
と言って俺は思いついたことを聞く。
「あのさ、ふみちゃん。
ふみちゃんが大丈夫なら、ゴールデンウィークの間に俺に勉強を教えてくれないかな?」
俺がそういうとふみちゃんは驚いたようだ。
「うえ?!
う、うん。
もちろん大丈夫だよ」
「ん、なんでそんなに驚いたの?」
「だって、ほかの子に勉強を教えていたんでしょ?」
「まあ、そうだけど……だからと言って自分がちゃんとできているかどうかは、どうにもわからないからさ」
「なるほど……うん、じゃあ僕に任せてよ」
「頼りにしてるよ」
作ってくれたお昼ご飯は『にんじんと油あげのひじきの煮物』『サバの味噌煮』『豆腐とわかめの味噌汁』『十六穀ご飯』などめちゃ和風な献立。
「今日は和風な献立なんだね」
「和食って記憶力を上げるのにいい食材が多いから」
「ああ、青魚とか大豆製品とかは確かにそうらしいね」
「そうそう」
「ん、普通においしいのに頭にもいいとか最高だね」
「でしょでしょ」
で、勉強を教えてもらうために俺の部屋に移動。
「まあ、狭いところだけど、どうぞ」
と俺はふみちゃんを部屋に案内する。
「お邪魔しまーす……んー適度に生活感があるけどきれいにされてるね」
「まあ、あんまり生活感がなさすぎるのもどうかと思うしね」
で勉強を開始だ。
そこでふみちゃんが俺に言う。
「まず、基本的に高校の教師は適当に中間テストの問題を出すわけではないということはわかってる?」
ふみちゃんの言葉に俺は首を傾げた。
「ん?
どういうこと?」
「中間テストや期末テストはテスト範囲の教科書内容の、学習指導要領で絶対に押さえておかないといけない内容を、生徒が理解出来ているのかを、確認するための問題を出題するの」
「なるほど、つまり要点は決まってるってわけだ」
「そうそう。
つまりそこを確実に押さえて取りこぼさないようにしておけば、定期考査で高得点が取れるようになるわけね。
定期考査に出る問題は大学入試のセンター試験や二次試験本番でも出題される可能性が高いものだから覚えておいて損はないと思うわ」
「極端なことを言えば高校の定期考査っていうのは、大学入試対策のためのテスト問題ってことか」
「でも、多くの高校生はそういうこともわからないわけだから、それを知ってるか知らないかだけでもだいぶ違うけどね」
「まあ、それはそうだよね」
要するに何か必要なことを覚えるための要領の良さを見るのが大学の入試の本質ってことでもあるのだと思う。
まあ、それがうまく機能しているかどうかはまた別の話だとも思うけども。
「ともかくまずは数学・国語・英語に関して完全な状態にして、それを物理などに応用するのが大事なんだけどね。
ともかく中間試験に出そうな問題としては……」
とふみちゃんは俺が使っている教科書から試験問題として適切と思われる個所をピックアップしてくれた。
「この辺りがわかってれば大丈夫だと思うよ」
「ん、ありがとう。
これなら中間試験対策の方は何とかなりそうだよ」
「んふふふ、僕も役に立てたようでうれしいよ」
頭がよいからと言って他人にわかりやすく、要領を押さえて教えることができるかというのはまた別の能力だったりするのだが、ふみちゃんはそういった方向でも完璧らしい。
スタイルやルックスもいいし、頭も性格も抜群にいいのだから、これならさぞや、モテるような気もする。
だから……彼女に甘え続けてたら羽賀と同じように、見限られてしまいそうな気がするんだよな。
いや、俺が彼女には幸せになってほしいと火の鳥に願った結果として、彼女が俺の幼馴染になったのならば、彼女にふさわしい男になり、彼女を幸せに出来るように努力を継続的にするべきなんだろうけど……正直なところ基本スペックが違いすぎてちょっとしんどいのも事実だったりする。
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