第60話 西海枝さんがお世話になっているお礼と弁当を作ってきてくれたけどだいぶ料理の腕も上達していたよ
さて、家庭科部の部活動も無事終了して、翌日の朝。
自分の席に座っていると、少し挙動不審気味というか、そわそわした様子の
「あのね、秦君。
いつもお世話になってるお礼に、今日は秦君のお弁当を作ってきたのだけど……。
よければお昼に一緒に食べてくれるかな?」
俺はそれを聞いて一も二にもなく、うなずいた。
「あ、それはすごくありがたいな。
むしろ喜んで食べさせてもらうし、どんなお弁当なのか楽しみだよ」
実際に学食で定食を食べると500円くらいはかかるから結構高いしな。
「あ、そんなに期待されると、ちょっと困るかもです。
中身はごく普通ですよ?」
「いやいや、ごく普通で十分だから」
実際に弁当の中身がどんなものなのかわからないのはワクワクするな。
そして午前中の授業が終わって昼休み。
「せっかくだし今日は中庭にでも行って食べてみようか」
俺はそういうと
「今日は天気もいいですし、中庭のベンチで食べるのもいいですね」
「じゃあ、早速行こうか」
「じゃあ、中庭に行く前に……秦君のお弁当はこれです」
と、
というか
「俺の弁当ずいぶん大きいけど、いいのかな?」
「男の子だったら、それくらいは普通に食べるかなと思いましたので」
そんなことをしゃべっている間に中庭へ到着。
ちょうどベンチやテーブルも空いているようだし、今日は天気も良くて結構過ごしやすい陽気だ。
俺たちはベンチに腰掛けて、テーブルに弁当を置いた。
「んじゃ、さっそくいただこうかな」
「はい、どうぞどうぞ」
弁当の中身はといえば、
アスパラの豚肉巻き
ウインナー花の飾り切り
オムレツのトマトケチャップ
ミニトマトとゆでブロッコリーのマヨネーズ
と赤・黄・緑・茶・白の5色そろった彩りも良く、栄養も偏らないように考えられているな。
「いやあ、想像以上においしそうでびっくりだね。
じゃあ、さっそくいただきます」
とまず俺はオムレツに箸をつけ、口に運んだ。
ふわふわな食感はまさにオムレツならではだな。
「
オムレツ作りもずいぶん上手になったんだな」
俺がそういうと
「はい、美味しいオムレツを作れるようにいっぱい練習しましたので」
続いてはアスパラの豚肉巻きに箸をつける。
「ふむふむ、しょうゆベースの甘辛照り焼きタレの味付けがすごくいいね。
ご飯がめっちゃすすむよ」
「あ、それならよかったです。
ちょっと火を通しすぎたかなって思ったんですけど」
さらに、ウインナーとミニトマトとゆでブロッコリーのマヨネーズも全部美味しくてどんどん食べられる。
あっという間に弁当箱は空になってしまった。
「ごちそうさまでした。
とても美味しかった。
「いい、お嫁さんですか……えへへ、ありがとうございます。
お世辞でもうれしいです」
「別にお世辞じゃないけどね」
照れたように赤くなる
ご飯を美味しく作れるっていうのは結構大事だと思うんだ。
だから俺も家庭科部で部活動しているんだけどな。
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