第39話 中間試験が近づいてきたけど東雲さんが勉強を教えてくれと泣きついてきたよ。

 さて、なんやかんやと毎日を忙しく過ごしているうちに、四月も終わりに近づいてきた。


 そして、一学期の中間テストが3週間後に近づいてきてもいる。


 いつも通り朝、みんなでだべっていたのだが、俺はみなを見まわして真面目に言った。


「そろそろ中間テスト対策で、まじめに勉強しないとな」


 俺がそういうと西梅枝さいかちさんが首をかしげていった。


「え?

 まだ少し早くないですか?」


「いやいや、そうでもないんだよ、これが。

 まず中学生では2日か3日だったテスト期間が、高校生では5日ほどになるんだ。

 それは、理科が3科目の生物基礎・化学基礎・物理基礎などというように科目数が増えるからだよ」


「確かにそうですね」


「しかも、授業の進度が中学の時より速いから、勉強しないといけない範囲も広いしな」


「なるほど、そう言われればたしかにそうですね」


 しかも、そういったことが理由で一度つまずいてしまうと、授業についていくのは、中学生の時よりもずっと大変になってしまうのだ。


 1週間前からはテスト週間に入り、部活が無くなって帰宅が早くなり、その分テスト勉強をすることはできるのだが、それだけでは足りないんだよな。


 そんなことを話していたら東雲しののめさんが泣きついてきた。


「うわーん。

 秦えもーん、助けてー」


「しょうがないなぁ、しのた君は……っていったいどした?」


「実はね、数学が全然わかんないの」


「ああ、ちなみにわかんないのはどこから?」


「どこからわかんないのか、そもそもわかんないの」


「ああ、よくあるな、それ。

 ちなみに復習はしてる?」


「ううん、やってもわかんないからやってない」


「うーん、それはまずいな。

 本来だと授業当日の24時間以内に10分間、週末の空いた時間に5分間、定期テスト前の期間に2~4分間の最低3回復習すると忘れないらしいんだけどね」


「そういわれても……」


「まあ数学は、暗記よりも公式なんかを理解して解く問題の割合が多いから、覚えることが少ない代わりに、一つ覚え損なうと、その後、全部理解できなくなったりするしな」


「うん」


「しゃーない、まだ高校入学からはさほどたってないんだから、教科書や問題集を最初からやり直していこうぜ。

 俺がわかる範囲は教えるよ」


「うん、あんがと。

 やっぱ秦ぴっぴは頼りになるね」


「俺なら、何でもかんでもそつなくこなせる、助けられると思われても、正直困るんだけどな」


 俺がそういうと東雲しののめさんはニカッと笑った。


「まあ、確かにファッションセンスはちょっとあれみたいだけどねー」


「それを言うなって。

 じゃまあ、家庭科部の部活動中の空いてる時間に、数学の勉強もやるか」


「うん、ありがとね」


 そして、西梅枝さいかちさんも言ってくる。


「それなら私にも教えてくれませんか?」


「え、ああ、それはいいけど、西梅枝さいかちさん、家庭教師に来てもらってるんじゃなかったっけ?」


「あ、結局のところ、家庭教師はやめておいたんです。

 なので今は自習だけなので」


「ああ、なるほど。

 なら、お互いにわからないところを教えたりした方がいいかもな」


「はい、なのでよろしくお願いしますね」


 大学の推薦入試を受験するには、高校3年間で良い成績が必要になり、当然1年生の一学期中間テスト成績を含めた3年間の成績が合否に関わる。


 推薦入試について高校入学直後に説明されることはないので、このことを知らない生徒がほとんどであったりもする。


 だけど自分の行きたい大学の推薦がもらえる可能性を高くするのは大事なんだよな。


 むろん良い大学に入って、ちゃんと卒業すれば、よい会社に入れて、人生安泰なんてことはないのだけども、そうなる可能性はあがるし、高校生は勉強をちゃんとやるのも大事だ。

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