059 ギルドの登録
あれ以来、校内や演習場で何度か6年生のカーマンに会った。
が、睨まれることはあってもとくに絡まれることはなかった。
(シャーリーやデニーに謝れよなと思うが、俺自身はまったく気にしていない)
▼
「みんなおはよー」
「「「アレクおはよー」」」
友だちもだんだんと増えた。学校にも慣れてきた。
行き帰りも今では体感で1時間30分くらい。これも少しずつ慣れてきた。
そんなある日、授業の終わりに担任の先生から呼ばれた。
「アレク君、帰りに職員室のモンデール校長先生のところへ行きなさい」
「はい?」
「アレクーお前またなんか悪いことやったのかー?」
「「またやったかー!」」
デニーたち3馬鹿が大笑いしながら囃し立てる。
「やってねーよ!てかなんでまたなんだよ!でも‥‥俺、何かやった?ねぇシャーリー、ミリアなんか聞いた?」
なんとなく心配になってシャーリーとミリアに聞いてみる。が、2人とも可哀想な人を見る顔で俺を見ていた。
▼
「校長先生、4年アレク来ました!」
職員室に入り、俺は大きな声でこう言った。
「ああアレク君悪いね」
にこりと校長先生(モンデール神父様)も丁寧に俺に言った。
「アレク君、君はデニーホッパー村から毎日通っているんだよね?」
「はい、毎日通ってます」
(う〜ん、何か猿芝居みたいだ)
「途中ニールセン村を通るだろ?」
「はい」
「ニールセン村の教会はわかるね」
「隣村ですからもちろんわかります」
「ああそれはよかった。実は君にお願いしたいことがある。
ニールセン村教会とデニーホッパー村教会へ手紙があったら帰りに持って行くことはお願いできないですか?」
「はい、大丈夫です」
「逆にニールセン村やデニーホッパー村からこちらの領都教会に手紙があることがあるんだ。朝寄ってくれることは可能かい?もしあっても週に1、2度だが」
「はい、ぜんぜん大丈夫です」
「そうですか、ではアレク君お使いのお願いはできますか?」
「はい、任せてください!」
「ありがとう。では、今日にでも君は冒険者ギルドで登録をしてきてくれるかい?この手紙の配達は教会学校から君の名前で指名依頼としておくから」
「はい。さっそく今日にでもギルドへ登録に行ってきます」
「ああ、あと指名依頼となっているがね、その依頼料は‥」
こうして俺は冒険者ギルドで冒険者登録をすることになった。指名依頼といえば聞こえはいいがなんのことはない、モンデール神父様のお使いの郵便屋さんのようなものである。依頼料も驚くくらいに安いらしいので、間違ってもこの依頼を受ける人は誰もいないだろうということだ。
冒険者になりたかった俺だから依頼料の安さはぜんぜん気にしてないけど。そんなわけで冒険者の登録は大歓迎だ。
「アレク今日帰りに‥」
「ごめんシャーリー、俺今日は急いでるから明日でいい?」
「うん、いいよ。じゃあばいばーい」
「ばいばーい」
(今日アレクにお店に寄ってもらいたかったのにー残念!)
俺はさっそく帰りに領都の冒険者ギルドへ立ち寄ることにした。
ついに俺も冒険者デビューだよー!
とってもウキウキしてきた。
(冒険者ギルドってあれだよね。
最初に酔っ払いのおっさんに絡まれるか、足をひっかけられて転けるところからスタートするんだよね、たしか。で、裏の訓練所へ来いって言われて‥)
あー楽しみだなー。
あっ!でも俺攻撃魔法って1つもできないし、剣も木刀しか持ったことないし‥でもいいか。いざとなりゃ攻撃を避けて土魔法で封じ込めるか、相手の剣を切れないように錬成すればいいかな。うんうん、戦い方はあるよたぶん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます