043 風魔法
残る1つの生活魔法が風魔法だ。学校では1人、ベンクック(ベン)だけが風魔法を使える。
バザーではベンが発現した風魔法「ドライ(乾燥)」でシリアルバーに入れる果物を乾燥してくれた。
ベンは小柄で穏和な大人しい子どもだ。
「ベンおはよー」
「アレンおはよー」
「ベンは風魔法が使えるじゃん」
「うん」
「ベンのお父さんも使えるのか?」
「うん。父ちゃんと母ちゃんの2人とも使えるよ」
「すげぇな。何に使ってる?」
「収穫に便利だよ。麦や粟なんかの穀物の収穫は鎌要らずさ」
「なるほど!それは楽だなー」
「あとは?」
「こないだみたいな食べものを乾燥するには便利だよ。肉も干し肉にすれば腐らないし」
「うんうん、あとは?」
「届かない上のほうの木の実も風で採れるし」
「それは便利だなー。あとは?あとは?」
(これはいろいろ生活が楽になるなあ)
「水の上で竜巻を起こしてやれば魚も捕れるよ」
「へーすげぇな。そんな使い方があるんだ。あとは、あとは?」
すごい、風魔法すごいぞ。
「うーん、そんなとこかなあ。あっ、母ちゃんが髪を洗って濡れてたら、父ちゃんが乾かすのを手伝わされてる」
(えっ、人間ドライヤーじゃんそれ)
「はは。でもそれは微妙だな‥‥」
風魔法の魅力はなんといっても攻撃魔法だろう。
コピーもいっぱいできる忍者の◯◯◯先生のアレとか、真空波を飛ばして「エアカッター!」とか「風刃!」とか叫んだらカッコいいだろうなあ。
孫◯◯のカメ◯メ波も一種の風魔法かなー。
あと足元に風を纏わせて「ドロン!」と消えたらまんま忍者じゃん。
カエルの服着てやってみたい!
夢が広がるなあー。
「ベンはどうやって練習してる?俺も風の生活魔法を使いたいんだけど。いい方法があったら教えてほしいな」
「アレクはすごいよな。スキルがないところから覚えてるんだから。本当にすごいよな」
「そんなことないよ。できない俺にみんなが教えてくれたからさ」
「アレクがどこまで強くなるのか僕も期待してるよ!」
「あはは、でも努力はするよ。俺ができることは努力しかないから」
「アレク、その努力がすごいんだよ。俺も含めてみんな最初は努力するんだけど結果が出ないからそのうち飽きちゃったり嫌になってできないんだよ。なのにずーっと努力をやり続けるアレンがすごいのさ」
「「「うんうん」」」
聞き耳をたてていた教室のみんながうなづいている。
「僕の練習だけど、鶏とか鳥の羽根があるだろ。最初は羽根を机や手に置いて動かすところから入ったらどうかな。
雛鳥の軽い羽根のほうが取っつき易いよ。でだんだん慣れたら羽根を空中に浮かべたり、遠くに飛ばして戻したりするのさ」
「ありがとうベン。さっそく今夜からやってみるよ」
こうして俺は目標としていた最後の生活魔法風の修練を始めた。
◎ベン式風魔法練習法
鳥の羽根を机の上に置いて練習する。
雛鳥などの軽い羽根から始める。
まずは机の上で動かすことから。
羽根は10日めから少し動き始めた。シスターナターシャにも報告したら、毎日やっているドラゴンの魔石の欠けらへ魔力をこめる練習が活きているからよと教えてくれた。
すべての魔法の発現には体内魔力が必要不可欠なんだと。
「アレク君、体内の魔力量をもっともっと増やしなさい。魔力量の大きさが今後のアレク君の人生を変えるわ」
「はい!シスターナターシャ」
魔力量は見えないから結果ももうひとつ分かりづらい。それでも俺はやり続ける。俺には努力するしかないから。今日も努力あるのみだ。
―――――――――――――――
いつもご覧いただき、ありがとうございます!
「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
どうかおひとつ、ポチッとお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます