第47話 キートの城にて(その3)
遡る事1日前。クニオとコルビーは宿屋の部屋にいた。
「師匠、物見やぐらを提案するという話ですが、師匠の買い込んできたものがどうそのことと繋がるのか、私には今一つイメージできません」コルビーはクニオにつきあって、町で色々なものを買い込んでいた。
「うん。コルは魔王城からミナレットは見ていたよね」クニオは買い込んだものを、一つずつ確認しながらコルビーに話しかける。
「あの細さであの高さの塔が立っていることは構造的に無理なんだよ。でも実際には存在している。じゃあどうしているかと言えば…結界で補強していたんだ。でもその結界のせいで魔力を持つ存在は全く行き来ができなかった。そこで結界を解析していたナーガさんに協力してもらって、ちょっと構造を変えたんだよ」クニオはコルビーに説明する。
「ナーガと言えば七大魔将軍のナーガでしょうか?」コルビーは少し驚いているようだ。
「そう、その時にナーガさんからイメージを共有させてもらったので、それを見てもらうのが早いと思う」そう言ってクニオはコルビーの両肩に手を乗せ、プランニングで当時のイメージをコルビーにも共有してもらった。一度プランニングしたものはそのイメージをストックすることができる。
ミナッレトの時はナーガには模型でイメージを共有してもらうだけで、結界の改造術式は彼が独自に展開していた。クニオは内容を理解できないまでも、プランニング要素として改造術式のイメージはストックさせてもらっていた。ベースになる結界の術式はアマリアの盾から読み取ればいい。ミナレットの結界はアマリアの盾に付与されている結界と同じ術式だとアルファが言っていた。
「流石はナーガだな。こんな複雑な事をよくやったものだ」コルビーは魔王の口調に戻ってそう言った。しかし次の瞬間にはまたいつもの感じに戻る。
「これと同じ方法を使って物見やぐらを作るんですね。ミナレットに比べるとかなり小規模なので、成体ではない私でも何とかなりそうです。ただ…」コルビーは言葉に詰まる。
「ただ?」
「師匠にはそこまでは分からないかもしれませんが、結界術式の根本素材としてアダマンタイトが必要ですね。アマリアの盾と同じ原理で結界を固定するのに必要です。規模が小さいのでそんなに量は必要なさそうですが…そうですね、こぶし大のひとかけら位で事足りるとは思います。が、それが無ければどうにもできません」コルビーの説明に、クニオはさほど驚いた様子は無かった。
「アダマンタイトに関しては盾の話でサダヒデさんから聞いていたし、そうじゃないかとは思ってたよ。でもうまく行けば領主が持っていて、あわよくばお礼におこぼれも貰えるかもしれないよね」クニオはそう言って笑みを浮かべる。
「師匠もなかなかの策士ですね」コルビーも一緒に悪い笑みを浮かべている。そうして買い込んだ材料を見て
「で、これらのよくわからない物は何に使うんでしょう?」とクニオに聞いた。
「コル、建築士最大の武器は何だか分かるかい?」そう言ってクニオはもったいぶった。先日のミナレットの件でナーガにはネタバレだが、コルビーには多分初めての概念だと思ったからだ。
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