第23話 闘技場
遠くに第三の祭壇が見える。私とエリカ達は少し離れた丘に身を隠す。
西岡のでかい声と、ナイナメスの通る声はここまで聞こえた。
「ニシオカ、紋章が無くてもラスボスと会えるというのは本当か?」
「ええ。おまけに、戦わなくても済むというおまけ付きでええす。そうでなければ、捕虜となった彼を逃したりはしませんでしたよ」
「せっかく捕まえた人質を逃がすとは処刑してやろうかとも思ったがな、上手くいったならば不問に付そう。だが、嘘だとしたら・・・分かっているな」
「安心してください。ラスボスには会えますよ。ラスボスにはねええええ」
「ふんっ」
「では行きますよ。兵士のみなさんも怪物を祭壇の中央に寄せてください。」
西岡が祭壇にふれると、中空に半透明で緑色のスクリーンが映し出された。西岡はその下方にあるキーボードを押すとコマンドを入力していく。
すると祭壇を中心に巨大な魔法陣が出現し、ドーム状の青い光が覆い尽くした。
「消えた・・・」
「ラスボスの場所に転送されたのでしょう」
「私達も追いかけよう。ナイナメス達が成功するにしろ失敗するにしろ。結末を見届けないと次の手が打てない」
「分かりましたシズカさん紋章を」
「分かった」
「怪物たちも祭壇の内部に入れてください」
紋章を祭壇のインベントリに入れると、私は普段は暗くなっているボスダンジョンのマークが明るく光った。
そのマークに触れると先程の西岡達と同じく青い光が祭壇を覆い尽くし、閃光が視界を満たした。
目が閃光の光から回復すると金属製のどこまでも続く壁と目の前に巨大な門が出現した。
後ろは一定の範囲、円形の地面があり、その外はどれだけ高空なのか空の青さしか見えない。
「ここがラストダンジョンなの?・・・」
「ええ、急ぎましょう」
私が門を押すと、それは自動で内開きに開いてくれた。
門の内部は城の回廊の様な作りになっていた。しかしすべてが巨人が暮らしているようなサイズで大きい。
怪物に乗って進んでも余裕があった。
「ナイナメスの兵か」
ところどころ怪物の死骸とマケドニア兵の死体があった。怪物は中型の肉食獣で、この左右の移動範囲が制限されている場所では小回りが利いて相手にするには非常に厄介なタイプだ。
「うまく彼らが掃除してくれているみたいね」
本来ならこれらのダンジョンの怪物と戦いながら進むのでかなり進みが遅くなる。
しかしナイナメス達が排除した上にまだリスポーンしていないため私たちは楽に進めた。
「T字路ね。死体が有るのはこっちだわ」
私達は道の突き当りで左右に分かれた箇所に来た。
確かここを左に行けば・・・あの子と最後にきた・・・。
「なにぼっとしてるのよタケル?右側よ」
「すみません。今、行きます」
私たちは右折すると先を急ぐ。
更に三回ほど道を折れ曲がって更に巨大な通路へと出た。
そこをまっすぐに進むと怪物がぎりぎり通れるほどの入り口が付いた、闘技場の様な場所に着いた。
中に人のけはいがする。
「怪物達を少し離れた所において偵察しましょう」
私たちは怪物たちを気づかれない場所に置くと、入り口の影に身を隠して内部を伺う。
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