異様な会社  1





一寸法師では作戦会議が開かれていた。


「俺は一度紫垣製菓の中に行って様子が知りたい。」


と豆太郎が言った。


「危なくないか?豆よ。」

「でもあそこ、外からじゃ中は全然分からないんだぜ。

常務を呼び出しても出て来ないだろうし。」

「だろうな。」

「そうだ、ここで新しい紫垣製菓の製品を扱いたいからと

営業のふりをしていくのはどうかな。

それなら正面から堂々と入れるし、あちらも手を出しにくいんじゃないか。」


豆太郎が言う。


「うーん。」


皆は腕組みをする。


「あの、もし行くなら私も行きたいです。」


ゆかりをみんなが見る。


「私は常務さんに会いたいんです。

一応顔見知りですし、ここに就職したご挨拶って事で

怪しく思われないかも……、は取って付けたみたいですか、ね?」

「お嬢さんは素人さんじゃよ、

そんな危険な事はさせられんよ。」


ひとりの年寄が言う。

だが、


「どうしても行ってみたいか?」


と金剛が言った。


「はい。」


きっぱりと紫が言う。


「金剛さん、そりゃ無理だよ。若い子に何かあっちゃあ……。」

「紫さんには加護が付いてる。かなり強力のな。

それに赤い玉が豆太郎に見えないなら、

見える紫さんが一緒に行ってくれると中の様子も分かりやすい。

豆よ、頼めるか。」

「ああ、明日の朝一でアポを取るよ。紫さん、大丈夫か。」

「ええ、明日は定食屋を休みます。」

「朝ごはんはここで喰えばええ。腹減らしておいで。」


老人のせめてものねぎらいの言葉だろう。

紫はにっこりと笑って頭を下げた。








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