花野

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 秋の花

 想いを寄せる

 あの人と

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 花といえば春ですが、「花野はなの」は秋の季語だそう。


 秋の花といえば、真っ先に思い浮かぶのは秋桜こすもす

 でも、コスモスに「秋の桜」と振ったのは意外にも最近のこと。

 山口百恵さんの「秋桜コスモス」の大ヒットからだとか。そこにも逸話あるようですが、それはまた別の話。


 次によく目にする秋の草花といえばススキでしょうか。


 月にも添えて。


 野原や川辺の群生はきれいと見るよりも、涼やかな秋の風情そのもの。「もう秋だなあ」と、すずかぜを受けながらさらさらと揺れるその姿に見入ってしまいます。


 白い花、のように見えて、あれは「穂」なのだそうですが、「袖振り草」は別れを惜しんで袖振る恋しい人の姿も見たススキの別名とか。


 「言の葉」を探っていると、和歌なんて本当に、ほとんど恋歌ばかりで、日本人はなんと昔から恋多き民族だったのかと驚かされたり、微笑んだり。


 春夏秋冬、それぞれに人は想いを寄せるものありますが、コスモスも、ススキも、秋の花はどこか、寂しげ、はかなげ。万葉の歌人はそこに恋の切なさも重ねたのでしょう。

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