第十六回書き出し祭りの感想置き場
呑竜
第3会場13「三文小説家、華の帝都の闇に墜つ」
『文は無し、妻子も無し。
帝都のすみで、ひっそりと安い文を売る恐怖小説家・誰ソ
大正12年の春を、彼はなんともなしに生きていた。
都の裏側に巣食う、大いなる闇へと足を踏み入れてしまった、そのときまでは』
あらすじでぴんと来たあなた、はい正解。
この作品はクトゥルフ神話をモチーフにしたホラー作品です。
誰ソ葉月という作家がいあいあはすたあな事態に巻き込まれるという例の奴で、内容についてもきっちりとクトゥルフ的お約束を踏襲してるし、ウケる人にはとことんウケそう。
が、それだけでは難しいんじゃないかなというのが第一印象。
数多あるクトゥルフ関連作品の中で抜きん出るための『何か』が必要(這いよれニャル子さんほどとまでは言わないけども)。
もちろんそこは作者様も気づいていたようで、銃弾と魔術だけではなく小説家が筆をとって戦う、という手法を選んでいる。
新聞記者がペンで戦うのではなく小説家が筆で戦うのだから、文章がなんらかの超自然的な効果を発揮するのだろう。なるほどなるほど、絵的に映えそう……なんだけど、残念なのは肝心かなめのその部分が書かれていないこと。
おそらくは文字数の問題で書けなかったのだろうけど、これはマイナス点だなあと思ってしまった。
異世界ものだったら異世界に行って『から』。
お料理ものだったらお料理を『作り食べる光景』。
作品にとっての柱を明確にしないと、読者が迷子になってしまう。
今回のスペースの趣旨は『コミカライズ原作を目指す』ことが前提なので、ここは強く押したいと思います。
あとはビジュアル面。
これもまた、コミカライズ原作ということになるならば重要なところです。
印象的な登場をしたヒロインについての記述が少なすぎてイメージが抱きづらいので、もう少し書くべきだったかなと思います(男性読者としては特にね、ごにょごにょ)。
なんだか悪いことばかり書いてるようですが、これはあくまでコミカライズするならという話。
これから小説として文字数を重ねていくならば全然問題ありません。
主人公のひねたキャラ、ハードボイルドな雰囲気、言葉遣いひとつとっても作者様の確かな力量を感じます。
わたし自身がバトル書きなので、書き出し終わり部分の展開はとても好き(*´ω`*)
続きが読みたくなるような作品でした。
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