第41話「魔法都市」

…秘境村を越えて、魔法都市へたどり着く


ここは中世風な建物が多く、街並みはとてもきれいだ。むしろここに住みたいという人も多い


魔法のことならなんでもござれ。魔法というのを日常生活に取り入れている都市だ


城へと続く大通りはいつも人で賑わっている。城に行くなら大通りでまっすぐに行けばたどり着く、シンプルな道


恵たち一行は馬車を駐車場に停めて街並みを見た。王国とは違う雰囲気をしていて空気も良さそうだ


恵はまだあの人のクリーチャーのことを考えていたが、今は考えるのを止めておくことにした


「随分…賑やかね」


恵が言うと他の人も言う


「久しぶりだな。ここは魔法都市だからなんでも魔法のことが聞けるよ」


「えへへ…風の魔法もここで学びましたぜ」


サンダースとコルスが言う。ここは本当に魔法なんだなと


秘境村から着いてきた魔法使いが言う


「さっき話されましたが、王の手紙を持ってると聞きました」


「ええそうよ」


恵はすっと手紙を魔法使いに渡した


「ありがとうございます。では、城へご案内いたします」


そう言うと魔法使いを先頭に9人は城へと歩き始める


城へ続く大通りは人で賑わい、とても良い雰囲気をした大通りだった



城へ着いた。王国の城と比べるとちょっと小さいが、それでも王室のいる城であった


9人が行くと、魔法使いは言う


「ここで、お待ちくださいませ。手紙を賢者様に渡します」


「賢者様?」


質問に答える魔法使い


「この国では王様のことを賢者様と言います。王と変わりませんので、ご安心を」


そう言うと魔法使いは城へと入っていった


9人は門でちょっと待っていた。一体どういう賢者様なんだろうか?


ちょっと経つと魔法使いが来た。手紙はすでに賢者に渡したのであった


「賢者様の許可がおりました。ご案内します」


9人は城へと入っていく


城に入ると街並みと同じく良い雰囲気をした城の内部だった。どこかノスタルジックな感じがした


まるで魔法そのものがこの城にあるような。そんな雰囲気もした


入口から入って王の間へ。そこまで時間はかからなかった


「賢者様はここにいます」


ドアを開き、王の間へ


賢者の間と言っていいだろう。広い空間ですぐ目の前に賢者っぽい姿がいた


王座に座り、こちらを見た。ヴァルキュリアの王様とほとんど似ている


白いヒゲを生やし、白い髪の毛。メガネを付けている。服装は綺羅びやかな服装をしている


9人は賢者の前まで来た。すると賢者ははっきりとした口調で言う


「君たち。よくここまで来た。私はルガ。ここでは王としているが賢者様と呼ばれるここのトップだ」


「はじめましてルガさん。私、恵って言って神の紋章のある人なの」


早速ルガに神の紋章を見せた。ルガは静かに見て、言う


「おお。それは神の紋章。あの勇者が見せたものと一緒だ。君が紋章を持っているのか」


ルガが言うとサンダースとコルスが言う


「賢者様。お久しぶりでございます」


「賢者様。久しぶりっすね」


「君たちはサンダースとコルス。ちょっと見ただけで君たちがとても良き魔法使いになっているな。感心だ」


座りながらウンウンとうなずくルガ


「ねえ賢者様。勇者…会ったことあるんでしょ?」


早速質問する恵。当然ルガも答える


「勇者。会ったぞ。騎士の格好をしていてまさに勇者だった」


「そうなんだ。で、勇者…次はどこへ行くって言ってた?」


すでに10年前のことだ。ルガは思い出すふりをして、思い出した


「この魔法都市を抜けた、港町へ行くとは言ってたな。確か」


港町…ということは勇者は船で行ってしまったのだろうか


「じゃあ…船で次の場所へ向かった、と」


「そうだろうなあ。だがそこでどこに行ったかはわからん。あくまでもそう言ったまでだ」


…とりあえず次の目的はわかったが、船でどこに行ったかはわからない


恵は少し困ってしまった。勇者の足取りを探るためここまで来たのは良かったが、港町で止まってしまう


「だが、大丈夫だ。その港町には町長がいる。その町長もずいぶん長くおさとしている。その人に尋ねればいいだろう」


なるほど。その町長に会えば勇者はどこに行ったかわかるのか


「わかったわ。ありがとう賢者様」


「いやいや。神の紋章のある君に少しでも助けになればそれでいいのさ…そうだ。今思い出したのだが…」


ルガは思い出すふりをして更に言う


「勇者には側に女性がいたらしい。部下の発見では高貴な服装をしてとても強そうな出で立ちをしている。そんな女性がいたという」


そんな人がいたとは。やはり一人では無く別の人もいたのか


「そうなんだ。色々とありがとう」


「後、恵たち。君たちに属性が何か言ってやろう。大丈夫、何もしない」


「うん?わかったわ?」


そう言うと賢者は立ち、恵の側まで行く。そして両手をかざし、念を送りこんだ


「…なるほど。恵は光のある属性。その光は血漿族にすら対抗できるだろう。やはり神の紋章だ」


言い終わるとルガは両手をかざすのを止めて他の人を見る


「他に希望はあるか?」


「あ!じゃあボクお願い!」


そう言うとリミットにも両手をかざす。ルガは言う


「ほうほう。小さい君は気の力があって聖なる力もある。その気は血漿族を倒せる。そんな力を持っている」


「わかった!ありがとうおじいちゃん!」


リミットは嬉しそうに言う。おじいちゃんと言われて少々困惑したルガだった


「じゃあアタイもお願いします」


ルガはカロフトの頭に両手をかざす


「…ほう。雷か。君は雷の力を持っている。その力はとても強い。ただの人間では無い」


「そ、そうだったんだ」


かざすのを終えたルガ


「…私は別にやらなくていいか」


ウェナはぽつりと言う。リリアナが言った


「ねえねえ私もやってもらいたい」


「おう。よいぞ」


ルガは自分の身長よりもでかいリリアナの頭をかざす


「…ほう!波動の力と出た。波動の力を持つのは極めて珍しい。その力は血漿族を倒せる。持ってる大砲がそうなのだろう」


波動の力というのは珍しいものだったのか。恵は思った


「あたしは炎だから調べても同じだしね」


「炎とは珍しい。基本炎とは出ないからな」


ルガはここまで言うとふと提案をした


「君たち。もし良かったらこの魔法都市にいてその属性を更に極めてみないか?大丈夫。私がお墨付きすればほとんど無料だ」


そんな嬉しいことしてくれるのか。恵たちは喜んだ


「わかったわ!ならここで少しだけお邪魔してもらうわね」


「ああそうしろ。そうすれば血漿族も更に倒せるだろう」


ルガは笑顔で言う


「えーと。確かこのへんに…」


そう言うとルガはポケットをがさがさし始める。そして紙切れを渡される


「これを持っていきなさい。極めるのに必要な書類だ。これを持てばどこも無料で行うことが可能だ」


紙を渡されると恵は受け取った


「ありがとう賢者!」


「よいのだ。君たちが更に強くなるのを期待する」



王の間から離れた9人は恵に渡された紙を見る


不思議な紋章を書かれたこの紙。これで受講料パスなのだろうか?


「…まだここに来て城しか来てないし、魔法都市、巡ってみましょう」


恵が言うと8人はうなずいた。これで魔法都市を駆け巡ることになる



魔法の極み


一体どういうことだろう



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る