第27話「ミル村の道なり」

…とことこ


エルフの村に行った翌日。また5人は城に向けて歩いていた


道行く人に色々と見られるのは既に慣れたものだ。やはり有名になるとそうなるのだろう


みんなに注目される。そんな視線を感じながら5人は歩く。でも悪いことではない


「エルフの村であったあの巨人はいずれまた現れるのかしらね」


「そうですね。きっとどこかで出てくるでしょう」


あまりにも大きい、巨人の血漿族。あれに苦戦はしなかったものの、決して油断できない血漿族だった


「でもサンダースお姉ちゃん、女王と仲良くできなかったのはいいのかなあ」


リミットはポツリと言う。確かにそうだ


「サンダースはサンダースなりに事情があるだろう。だが、今は大丈夫だと思う」


ポツリと言ったリミットに返事をするカロフト。大丈夫なのかわからないが…


通行人の視線を感じつつ城へ行く5人だった



部隊部屋。ようやくたどり着いた


まずは部隊長の元へ向かう。そこには座っていたセントがいた


「よお5人、おはよう」


セントの横にはサンダース、リリアナの姿があった


「おはよう5人」


サンダースはクールに5人に挨拶する


「やっほ。恵たち」


リリアナは手を上げて挨拶をした


「セント、サンダース、リリアナ、おはよう。今日は何かあるかしら?」


恵が言うと早速セントは言う


「今日はな。ミル村に行ってほしいんだ」


ミル村…恵は当然知らない村だ。カロフトが言う


「ミル村っていうのは牧場経営が多い村で、そこから肉、ミルク、その他畜産品が王国やあちこちに届くんだよ」


牧場の村かあ。恵はのんびりしてそうねと思った


「…でもこうやって依頼が来るってことは…血漿族?」


恵が言うとセントはその通りと言う


「実はつい最近血漿族がちらちら見かけるようになってな。きっと地帯があるのだろう。そこでお前たちに行ってほしいんだ」


なるほど。これは行かないことはない。恵はその依頼を受け取ることにした


「わかったわ!今すぐ行くよ!」


「お前はいつも頼もしい。よろしく頼むぞ」


そう言うと6人は行こうとするが…


「待って!私も行きたい!」


リリアナは6人を止めて言う


「リリアナ。お前は魔法使い隊員の一人じゃないか」


セントは言うがリリアナは決して顔色変えずに言う


「だって!恵たちの戦い方を見て思ったの!私も行けば、きっと血漿族を倒せるって!」


「う、うーん…わかった。じゃあお前も遊撃隊の一人として行くといい」


セントに許可を貰ってリリアナは喜ぶ


「わかったわリリアナ。着いてきてね」


恵は優しい声でリリアナに言った


「うん!よろしくね!」


6人から7人になった遊撃隊。エルフの村と同じく、きっと活躍してくれるだろう



王国の北の門から出て歩いていた。そこまで遠い距離ではない


道なりに進めばミル村はある。7人は道なりに進み、ミル村を目指す


7人は元気そうに道を歩く。最初は恵に着いていく人はロザリーのみだったが、今では7人もいる大きい数となっている


ロザリー、杏、リミット、カロフト、サンダース、そしてリリアナ。恵はとても嬉しいと感じる


きっとこの人たち、私と同じように運命の浄化者なんだわ。恵はそう思っていた


運命の浄化者?あ…恵はふと気づいたことがあり、道の真ん中で止まる


「…どうした恵?」


サンダースが言う。恵はリリアナの側まで行き、手を取る


「いったい何か?」


「貴女に…神聖の力を与えるわ」


そう言うとリリアナは手の先からぞぞぞっとした悪寒を感じた。悪寒というには難しいが、何かが伝わった感覚があった


「…これはどういうことかしら?」


「リリアナ。貴女に神聖の力を譲渡したわ。これで貴女も血漿族をより大きく出て戦えるわ」


なんと。神聖の力とはちょっとよくわからないが、血漿族を倒せる力を貸してくれたとは思わなかった


「ほんと!?じゃあ血漿族を倒せる力が更に備わったってこと!?」


リリアナは驚いて言う


「ボクも神聖の力、恵お姉ちゃんから備わってもらったんだよ!」


「リリアナ。私もそうだ。神聖の力があってから血漿族が驚くほど退治できる」


リミット、サンダースは言う。なるほど。だからみんな強いんだ


「これは活躍しないとだめねえ!嬉しいわ!ありがとう恵。私、もっと血漿族をぶっぱなしてみせるね!」


リリアナに力を譲渡した。これで7人目。まだ他にもいるだろうか?



途中止まったがそれでも進む恵一行。そろそろそれっぽい村が見えてきた


「あれがミル村。普段からのほほんとしてて良い村だよ」


「わあ。美味しい牛乳飲めるかなあ」


「リミットったら。もう牛乳飲める気でいるのね」


リミットは嬉しそうに。杏は相変わらず優しく突っ込む


すると…


「助けてえええ!!」


…!?誰かの救いの言葉が聞いた。どこだ!


すると道なりに夫婦っぽい人がこちらに向かってきた。何かあったか


…理由がわかった。夫婦を追いかけたのは、人間の大敵血漿族だった。クリーチャーは夫婦を襲おうとしたのだ


「血漿族!みんな!準備はいい?」


7人全員が戦闘体制に入る。そして夫婦がこちらへやってきた


「大丈夫!?」


「す、すいません!血漿族が、遅いかかってきて…!」


「大丈夫よ。私たちに任せて。血漿族を退治してあげるから。後ろに下がって!」


夫婦は後ろに下がった


今回のクリーチャーはたくさんの四足歩行のクリーチャー、ハエだった。四足歩行のクリーチャーがやけに大きい


まず一歩。ロザリーが前に出る。光を浴びさせようとした


「…はぁ!」


ピカー!四足歩行クリーチャーは止まり、ハエはあっという間に撃沈した。これで四足歩行クリーチャーのみとなった


「今です!」


そう言うと一斉にクリーチャーを倒そうとする


「そりゃあ!」


どごん!恵の蹴りが一閃した。クリーチャーは浄化した


「夫婦に水入りするなんて空気読めないわね!それ!」


杏は炎をクリーチャーに浴びさせる。当然炎に包まれたクリーチャーはかすとなる


「クリーチャーなんて浄化しちゃえ!」


リミットが一気に両手でクリーチャーに強撃を与える。その強さは絶大ですぐに浄化される


「大量にいるから的がいっぱいあるね!」


カロフトは弓で一気に貫く!2、3体一気に貫通してクリーチャーは終わる


「雷よ!このケダモノに鉄槌を!」


サンダースは雷を増幅させると一気に放つ!クリーチャーに当って吹き飛びすぐに浄化された


「神聖の力…今こそ試すときね!」


リリアナは大砲に力を加えて波動の力を使い、クリーチャーに放つ。当然貫通してクリーチャーは跡形もなく消える


「す、すごい!みんな…すごい!」


夫婦は後ろで見てたが瞬時にクリーチャーを倒していた


残りの1匹を恵が退治。ようやくクリーチャーが全滅した。これにて終わり


「恵!みんな!頑張りましたね!」


「ええ。でもこのクリーチャーたち、きっと地帯があるんだわ」


「そうですね。村の人たちに聞いて地帯を探しましょう」


この戦い、恵たちの圧勝であった。さすがになれているものであった


「あ、ありがとうございます…!」


「私も助かりました」


夫婦は恵たちの近くまで行くとお礼をした


「いいのよ。これは仕事だと思ってやってるから」


仕事…とは言うが実際は救うためにこの戦いをしている


「なんて素晴らしい人たちでしょうか…お礼をさせてください」


「え?いいの?」


恵が言うと夫婦が言う


「はい。ぜひとも!」


「そう。んじゃあみんな行きましょう」


7人は夫婦に連れられて村へと行くことにした



酪農の村ミル村


何が待っているだろうか?



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