第15話「アスレチックの浄化」

…そのアスレチックは肉塊に覆われた場所になっていた


5人はまず嫌なニオイのある香りがした。血の匂いである。血の腐ったような香り。それはどんな人でもかぎたくないニオイ


入口、樹木、道、アスレチックの遊具。全部肉塊に覆われている。これは一兵卒でも無理だろう


だからこそ恵たちは来た。血の香りをあまりかぎたくはない。こっちまで気が狂いそうになる


やらなくてはならない。恵は気合を入れて浄化をしようと思った


「ニオイキツイけど…行くしかないわ」


恵は一歩入口に一歩踏み出していた。道も肉塊なので足を踏む感触がほんと気持ち悪い


「…なんか出てきてますよ」


大きい肉塊の塊からぞろぞろとこれまた気持ち悪い、肉塊の生物が出てきた。これももちろん血漿族である


小さいが大量に出てきて恵たちを襲おうとしているのだろう。恵は臨戦態勢をとる


「しかしこの小さいのはどうやって倒せばいいかしら」


「ボクの考えだと拳で上からぐしゃっ!って振るえばいいと思うなー」


リミットはそう言うがこれは時間かかりそうだ


「足で踏んづけるしかないかしら」


「アタイの弓じゃうまく行かなさそうだなあ」


恵、リミット、ロザリー、カロフトは困ってしまう


しかし、杏は何か考えていた。そして閃いた。この小さいクリーチャーの集団をやっつける方法を


「…あたしにまかせて。あたし、自分自身で炎をまとわせて突破するわ」


え!?そんな方法を!?カロフトは言う


「そ、そんな無茶苦茶だ!」


「無茶苦茶?結構よ。あたしはやってあげるから見てて」


そう言うと杏は自分の手を胸にあて、言う


「…炎よ!あたしの力となれ!」


ぼおおお!!


杏の体が炎に包まれた。これは自己犠牲?いや、違う。もとからあった力なのだろう。4人は驚く


「うりゃああああ!!」


杏は出てきたクリーチャーに突進する。まるで猪突猛進だ。クリーチャーが炎に包まれる


「ぐ…ぐぐ…ぐぐ…」


クリーチャーが炎に包まれるとどんどんクリーチャーは浄化していく。小さいクリーチャーは消えた


「す、すごいよ杏お姉ちゃん!」


「まさか杏にこんな戦闘スタイルがあったなんて…!」


周辺に出てきたクリーチャーは消えた。そう思うと杏は仲間に振り返る


「ほら!ぼーっとしてないでとっとと行くわよ!着いてきなさい!」


「ええ!わかったわ!」


5人は杏を先頭に奥へと進む


杏を先頭に次々と出てきたクリーチャーを炎を包んでいく。途中でかい塊もあったがそれも速攻で火炎に包む


恵は思ったがこんな力があるなんてすごいわ杏…!と心から思った。やはり連れてきて正解だった


やがて浄化ポイントだろう。噴水のある広場に到着した。恵は気合を入れようとしたら…


「な、何よあれ!でかい肉塊じゃない!」


…その肉塊はあまりにも大きく、まるで偉そうに鎮座した、肉塊があった


体?が筋肉なのか血なのかわからないが、赤く覆われていた


もはや気持ち悪いというのは当たり前なのかもしれない。悪趣味。そういう言葉も使っていいだろう


5人はその肉塊が嫌になりそうだ。ただのクリーチャーのほうがまだ可愛いものだ。だが、やらないといけない


「はぁ…」


杏は突然崩れる。杏の包んでいた炎が消えた。慌ててロザリーが杏の体を支える


「杏!大丈夫?」


「あはは…ちょっと気合入れすぎたわ…つかれてしまったわね…」


杏は無理して挑まなくていいだろう。恵は言う


「ロザリー。杏を支えてやって。私とリミットとカロフトであのデブ肉塊をぶっ飛ばすわ」


「はい。わかりました」


「ごめんね…よろしく…」


杏は言うと恵、リミット、カロフトは肉塊に向けて挑むことになる


3人は近寄る。するとすぐに反応したのか、肉塊から穴が開き、触手っぽいものが出てきた


「危ない!恵!」


しかし慣れたものである。恵は手刀の構えを瞬時にして触手を切った


「大丈夫よ。カロフト、援護お願い。リミット、一緒に行くわよ」


そう言われるとカロフトとリミットは戦闘態勢になる


「任せな!」


「うん!」


カロフトはまず触手を打ち払うことにした。出てきた触手はちょうど矢に当たるだろう


「アタイの力よ。恵から神聖なる力をもらった力よ!今こそ打ち払わん!」


弓の構えをして矢を放つ!矢は瞬時に触手を切っていった。カロフトの弓はすごいものである


「よし!この調子だね!」


一方恵とリミットは出てきた触手を一気に切ったり拳で使えなくしたりした


ざくっ!ぼこん!


どんどん肉塊の近くまで来た。しかしどこが急所だろうか?


「お姉ちゃん任せて!うりゃ!」


ぼこ!


…しかし肉塊は全然びくともしなかった。リミットは不思議に思う


「あれー?」


だが、反応はあった。肉塊は目の前でウィークポイントを出した。宝石みたいな、青い塊が出てきた


「お姉ちゃん!これだよ!これを殴れば!」


早口で言ったリミット。恵は即座に反応してウィークポイントに手刀を刺した!


すぼん!!


すると肉塊は悲鳴なのかきしむ声なのかわからないが、一気にしぼんでいった


そしてその肉塊は浄化。見事に勝ったのだ


「あんた。地獄の血の池地獄で反省してなさい」


恵は勝ったので軽口を言う


まだ終わりではない。浄化ポイントである。恵は血の匂いのする噴水に近寄り、手を置いた


「…はぁ!」


パァァァ…!


その浄化に力はあまりにも瞬時に広がっていった。足元にある肉も消え、樹木も肉が落ちて、様々なオブジェクトがきれいになった


噴水もきれいな水に元通りになり、これで浄化が終わった


「…ふう!」


「やっぱり恵お姉ちゃんの力じゃないとだめだね!」


「すごい…!」


カロフト、リミットは嬉しそうに言う


「おーい、みんなー」


「恵、お疲れ様です」


さっきまで戦ってないロザリーと杏が近寄る。どうやら杏は力を取り戻したみたいだ


「ロザリー。杏を支えてくれてありがとう。私たち、勝ったわよ」


恵は笑顔で全員を見渡して言った


「…恵、あんたすごいよ。本当に浄化者が来て目の当たりにして、強いんだから」


カロフトは真顔で言う


「ううん。今回のMVPは杏よ。杏が炎に包んで突破してくれなかったらもっと時間かかってたわ。だから杏を褒めてね?」


「…そうだな。杏。ありがとう」


カロフトがそう言うと杏は照れくさい顔をする


「べ、別にいいわよ…だいたい恵がいなきゃ意味なかったし…」


「さ、帰って報告しましょう」


5人は浄化した噴水の前で笑顔でいた



無事浄化したアスレチック


きっとまた子供たちの笑顔が戻ったことだろう



続く




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