第2話

【春日局（ｶｽｶﾞﾉﾂﾎﾞﾈ）】は本能寺の変に於いて明智光秀に加担した武将・斎藤利三（ｻｲﾄｳﾄｼﾐﾂ）（ｻｲﾄｳﾄｼｶｽﾞ説ｱﾘ）の娘である。名は福（ﾌｸ）。

父親の斎藤利三が山崎の合戦後に捕えられた後処刑される悲劇にみまわれる。

紆余曲折を経て関ヶ原の戦いで西軍を裏切った小早川秀秋（ｺﾊﾞﾔｶﾜﾋﾃﾞｱｷ）の重臣の妻となり子をもうける。

後、夫に愛想を尽かして嫁ぎ先を出る。

徳川秀忠（ﾄｸｶﾞﾜﾋﾃﾞﾀﾀﾞ）の長男・竹千代（ﾀｹﾁﾖ）後の徳川家光（ﾄｸｶﾞﾜｲｴﾐﾂ）の乳母（ｳﾊﾞ）の募集が募られた。

福は斎藤利三の娘として生まれ教養もあり子育てと母乳が出るという乳母の要素が揃っていた。

裏切り者である明智光秀の重臣である斎藤利三の娘というハンデは大きな障害となるはずだったが,元・夫が関ヶ原の戦いの小早川秀秋を裏切らせた功労者であったことなどが考慮されたのか実父の件は有耶無耶（ｳﾔﾑﾔ）のままに無事に採用された。

乳母となった福は竹千代の母以上に母となり竹千代を支えた。

おとなしい竹千代よりも快活な弟に父・秀忠と母・江（ｺﾞｳ）は期待を寄せてしまう。

孤独な竹千代を支え癒したのも福であった。

そして意を決した福は駿府城に居る大御所・徳川家康に乳母の身でありながら竹千代の現状を直接に訴えた。

場合によっては命を失いかねない行為であったが,家康自身が後継者の道筋を安定させる方法として嫡男が後継者となる嫡子相続を根付かせる好機として利用した可能性も無きにしも非ずである。

秀忠の元に訪れた家康は竹千代とその弟の序列の違いを明確にして嫡男・竹千代が三代目将軍となる道筋を確定させた。

時は流れ三代目将軍となった徳川家光の乳母であった福は将軍の血筋を維持する為の組織『大奥』の重鎮【春日局（ｶｽｶﾞﾉﾂﾎﾞﾈ）】となり家光を補佐して行ったのであった。

逆臣の娘から将軍の乳母となり大奥の重鎮まで登り詰めた春日局は徳川幕府安定に多大な貢献を果たした一人であるのは間違いないであろう。

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