第22話
あれからしばらくたって、遠足の当日となった。
彩音ちゃんは、保健の先生と一緒に行動することとなったが遠足に参加した。後ろのほうでゆくっりと自分のペースで参加できているみたいで安心した。
今回遠足としていく場所になったのは観光場所で有名な鎌倉だった。バスで現地までつくと先生が早めに話を切り上げ、早速神社へと向かった。
周りはたくさんの外国人観光客であふれており、クラスごとの移動ということもあり少し歩きづらかった。
しばらく歩いてから15分間のトイレ休憩が設けられた。普段人ごみに慣れていない私はグロッキーになっておりベンチに一人で座り込んでいた。
「っ!」
「千春ちゃん、大丈夫?」
ぼーっとベンチに座っていると急に冷たいものが頬にあたり肩を揺らし驚きバッと後ろを振り向くと悪戯っ子のような笑みを浮かべた水橋君が立っていた。
「水橋君!?」
「ごめんごめん、千春ちゃん見つけたからうれしくなったちゃって」
そう言う水橋君を軽く睨むと
「それあげるから許して」
と言っていつも通りの王子様スマイルで水差し出してきた。
おそらく体調が悪そうな私を見て買ってきてくれたんだろう。きっとこういうところが顔以外にモテる理由の一つなんだと思いながら私は水橋君からもらったペットボトルのキャップを外して水を飲んだ。
「おいしい?」
「うん。ありがとう、水橋君。あ、お金」
「いいよ。驚かせちゃったお詫びだから」
ね?という表情できれいな顔が太陽に照らされ、さらにきれいに映し出された顔が私に向けられ思わず顔を伏せていると
「そろそろ、休憩時間終わりだから行かないとだね」
と言いながら私の腕をつかみ集合場所へと歩いていく。
水橋君の手を振り払うこともできずに、されるがままの私の顔はきっと茹でタコみたいに赤い。
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