第10話

今日の4限目の授業は化学で、化学室に移動しなければならなかった。

「千春ちゃん次移動だから一緒に行こ!」

水橋くんは朝言った通り私と一緒に居てくれる、、、が心なしか女子からの視線が痛いくらい伝わってくる。


このまま水橋くんと一緒に居たら、嫌な予感がするため水橋くんには先に行っててもらい私は後から化学室に行くことにした。


化学の授業が始まると今日の授業は自由に班を組んでレポートを完成させることだと先生に告げられた。それは私にとって最も最悪な指示だった。なぜなら、陰キャボッチの私とグループを組んでくれる友達は存在しないからだ。

なんだかんだいって、学校で一番嫌なのはこの指示が下された時だ。そんなことをずっと頭の中で考えているともうすでにほとんどのグループが出来ていた。


一人取り残されて、恥ずかしさと自分の情けなさに怒りを抱いていると

「千春ちゃんよかったら、ウチらのグループ入らない?」

まさかの私とは程遠い存在だった、水橋くんや大西くんと仲が良い一軍女子の天宮瑠奈(あまみやるな)ちゃんたちが話しかけてくれた。


私は緊張していたが失礼にならないように

「よろしくお願いします」

と深く頭を下げ、天宮さんたちがいる席の元へと急いで行った。


話したこともなかったのでちゃんと実験できるか不安だったけど思いのほかしっかりとやってくれて驚いた。


「千春ちゃん、ごめんね。」

実験が終わりレポートも完成に近づいていると突然天宮さんが謝ってきた。何事かと思っていると

「湊がちょっかいかけちゃって。あいつ基本的に女好きだらさ!(笑)女子みんなにちょっかいかけようとすんだよね。ウチらもやめろって言ってるんだけど全然聞かなくて!」

どうやら水橋くんのことらしい、、、だけどなんだか嫌味があるような気がする

「心配してくれてありがとう天宮さん。だけど、私水橋くんの誰にでも優しいところ結構好きかも。」

そう言ってレポートを書き続けた。天宮さんは想定外の返事で驚いたのか、しばらく黙っていた。私になぜ友達が出来ないのか改めてわかった気がする。しかし、他人に合わせるのが苦手な私は偽るのが嫌だからありのままでいる。


「そっか。余計なこと言っちゃたね〜。ねぇよかったら日曜日に私たちと一緒に遊ばない?前から仲良くしたいと思ってたんだよね。」


天宮さんがそう言うと周りにいた女子が相槌を打った。私は半信半疑だったがクラスの子と仲良くなれるチャンスだと思い天宮さんたちの誘いに承諾した。

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