第13ワン 勇者と無双
「そうか、ジローはナイーダさんがフラーメを唱える所を見ていた……ゲームで言うところのラーニングをしたのか!」
「ジロー様にも導脈はあったのですね!?」
得意げに尻尾を振るジロー。
「しかし鳴き声だけで長い詠唱すらもしてしまうとは……」
「呪文は意味さえ合えば、その種族の言葉で構いませんので、理論上は可能なのです。もっとも導脈を持つ犬というのがかなり珍しいのですが……」
人語で唱えるよりも遙かに短い時間で詠唱し、更に勇者の特性で強化された術法という反則めいた攻撃。しのぶがこれを利用しない手は無かった。
「魔術師のみなさん、色んな術を使ってよ!ジローにもっと術を学習させるんだ!!」
しのぶの提案に対し、後方支援の魔術師部隊は様々な術法を唱える。
「天空を突き刺す碧き稲妻、
一人の魔術師が唱えると、モンスターの群れに落雷。 一匹のゴブリンに命中する。
「ウゥゥ~~……わんっ!(空を突き刺す碧き稲妻、蒼竜の怒りと知りとうなれ……エレク・トロポルス!!)」
ジローが同じ魔術を唱えれば、何本もの雷が広範囲に渡りモンスター達を襲う。
「燃やせ燃やせ
魔術師が地の魔術を唱えれば石礫が散弾の如く降り注ぎ、
「クゥーン……ワンワン!!(燃やせ燃やせ
ジローが鳴くとボウリング玉ほどの岩石が雨霰となり降り注ぐ。
「いいぞいいぞ、ジロー!!」
「敵の陣形は瓦解したも同然!一気に攻めなさい!!」
「「オオォーツ」」
ジローの魔術により半数以下へ数を減らしたモンスター達。それに反比例しシソーヌ王国軍の士気は上がるのだった。
「何だ!?何が起こっている!!あの
キマイラの背に跨がり戦局を観していたタモンの顔と声に焦りが見えた。 魔獣遣いの二つ名を持ち、 あらゆるモンスターを従えた魔王軍随一の部隊がたった一匹の獣にそれも魔獣ですらないただの家畜たる犬一匹の手により蹂躙されているのだ。
「子供の勇者と強力な術法を操る犬……認めませんよ、その様な奴らに我が魔獣部隊が敗れるなど!!」
タモンは槍を構え直した。錆も欠けも無い美術品の如く綺麗なその穂先を数百メートル先の勇者たちに向け。
「私が直接出ます!モンスター達よ、私とキマイラを援護なさい!!」
キマイラの3つある頭が咆哮を上げ、その強大な四肢で地を蹴り、駆け出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます