第14話

シェルドを攻撃したのは、あの魔物に違いない

灰になっても意識を持っているのは厄介だな


「ルナ、シェルドを連れて街へ戻ってくれ」

「勇者はどうするのよ!?」

「こいつを灰すら残さず消し去る」

「……分かったわ 無茶だけはしないでね!」


ルナはシェルドを背負って街へ向かった

さて、これで俺も心地よく本気が出せるってもんだ

あの状態で本気なんて出したら、それこそ死人が出る


ここは俺と魔物の二人だけ

誰にも迷惑はかからない


灰と化した魔物は、灰だけになったにも関わらず、まだ形を保とうとしている

本当にしぶとい 少しだけだがなめてかかってたな


「どこの何かは知らないが、痛みを感じる前に 殺してやる」


俺は勇者の剣に力を込める

勇者の剣が青く輝く

これこそが俺の奥義、俊足の大太刀


対象に当たれば、即死という極めて危険な奥義だ

だが、範囲の指定ができない

周りに人がいる状況で使えば、必ず巻き込んでしまう


灰になっても生きる魔物、この世界には俺の知らないことがまだまだある

これから先、魔王を討伐するにあたって知っていかなければならない

俺は殴り掛かってくる灰の魔物を見ずに言う


「この世界のことを教えてくれてありがとう」


魔物は今度こそチリすら残さず消えた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る