第10話

ルナの案内では何年かかることかと思ったため、俺が自分で行くことにした

ルナは方向音痴なのか、単に案内板が読めないのかどっちか分からない

どちらにせよ、もう関係ないことだがな


数分歩いて、ギルドについた

ルナの案内がなければ、もう少し早くについたかもしれないが言わないでおこう

また、怒られるのも嫌だし もう怖い目にはあいたくない


俺がギルドの扉に手をかける

バンッ と音を立てて扉は開いた


中には思った通り、冒険者たちがひしめいていた

飯を食べていたり、クエスト表を険しい顔で見ているものもいた


そんな中をぬけ、俺たちは受付の前に立つ

やたらと胸を強調した服の受付嬢が、笑顔で話しかけてきた


「あら、あなたは勇者様ではないですか?」


受付嬢がみんなに聞こえるくらいの声で言った

あ、そういうのはもう少し小さな声で言ってもらっても?

だが、時すでに遅し


「勇者様だって!?」

「勇者様がこの街に!?」

「皆、勇者様を称えよ!!」


ほら 言わんこっちゃない

大騒ぎになるのは目に見えていた

このままでは、俺の制止の声も届かない


「鎮まれッ!!」


ギルド内に凛とした声が轟く

その声で、ギルド内が一瞬で静かになった

誰だ?


声の主はこのギルドを仕切るギルド長だった

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