7『告発』
「なんかクサくない?」
その日、先輩は朝から首をひねっていた。
「そ、そうですか!? そんなことより電話取ってください!」
僕は電話応対をしながらパソコンで別作業をしながら、先輩に苦情を言う。
そんな器用な真似ができるのかって?
できる。
問い合わせ者には2つのタイプがいる。
加熱してるタイプと、してないタイプだ。
加熱してるタイプの場合、いくらこちらが『再起動してくれ』『落ち着いてくれ』と言っても話なんて聞いてくれない。
まぁ、秒単位で人が死んでいく戦場にいるんだから、感情的になるなと言う方がムリな話。
僕だってきっと、いざ戦場に出たら加熱するタイプだろう。
そういうタイプの問い合わせの場合、『落ち着いて』と言っても水掛け論にしかならないので、まずは相手が落ち着くまで喋らせるしかない。
そして、そういう『問い合わせ対応』をしている間にも、今度はメールの方からじゃんじゃん問い合わせがくるので、パソコンでそれに応対するわけだ。
そんな職場だから、先輩にも戦力になってもらいたいのだけれど……。
ヴゥゥゥウウゥゥウゥゥウゥウウウウゥゥゥウゥウウウウウウウゥウゥゥゥゥゥゥウウウゥゥウウゥゥウゥウゥウウウ!!!!!!
あぁっ、くそ!
またしてもレッドアラートだ!
「第
「PING応答ありません!」
そして――
「かーちょ」
また、いつものだ。
「今回は、第
「課長!」
先輩の声に被せるようにして、クーちゃんが声を上げた。
「私、見ました! この女が今朝、第
オペレーションルームの空気が凍りつく。
数秒経ってから、今度は一転してざわめき始める。
「クー・ローマックくん……君ねぇ」
課長が顔をしかめて、
「この件は私が対処すると言っただろう?」
「でも、見たんです! きっと今も、キャビネットの中に予備を隠し持っているに違いありません!」
そう言って、先輩を押し退けて、先輩のデスクの下にあるキャビネットを開くクーちゃん。
「あるはずよ……あるはず! あって! ――あっ」
クーちゃんが、キャビネットの奥からタオルに包まれた香木を取り出した。
「あった……!!」
ああ、そんな!
先輩――。
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