血に濡れたもふもふ羊は悲しんだ

血に濡れたもふもふ羊は悲しんだ

仲間が全員食われてしまったのだ

あたりには羊たちの死体が転がっている

彼は最後の力を振り絞り、牧場から脱出した


そして大きな者が目を覚ました

大きな者は全てを忘れ歩き出した


ひつじが一匹

ひつじが二匹

ひつじが三匹

ひつじが四匹


......ひつじが六十七匹


大きな者は旅立った

どこか別の世界へと旅立った


狼が一匹

狼が二匹

狼が三匹


......狼が二十一匹


羊たちは戦慄した

狼の襲撃だ

最初の血が流れた

羊たちは全力で命を守る

虚しくも羊たちは狩られていく


もふもふ羊は賢かった

群れから離れ、風下に逃げたのだ

狼達は夜の闇に消えていった


もふもふ羊は逃げていった

遠く、遠く、どこか安寧の地へ


大きな者は目を覚ました

彼もまたどこかへ歩いていった





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る