血に濡れたもふもふ羊は悲しんだ

血に濡れたもふもふ羊は悲しんだ

仲間が全員食われてしまったのだ

あたりには羊たちの死体が転がっている

彼は最後の力を振り絞り、牧場から脱出した


そして大きな者が目を覚ました

大きな者は全てを忘れ歩き出した


ひつじが一匹

ひつじが二匹

ひつじが三匹

ひつじが四匹


......ひつじが六十七匹


大きな者は旅立った

どこか別の世界へと旅立った


狼が一匹

狼が二匹

狼が三匹


......狼が二十一匹


羊たちは戦慄した

狼の襲撃だ

最初の血が流れた

羊たちは全力で命を守る

虚しくも羊たちは狩られていく


もふもふ羊は賢かった

群れから離れ、風下に逃げたのだ

狼達は夜の闇に消えていった


もふもふ羊は逃げていった

遠く、遠く、どこか安寧の地へ


大きな者は目を覚ました

彼もまたどこかへ歩いていった





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