第3話 秋空
台風が去って、九月も残り少なく、ただ暑さだけが妙に肌について、北国の冬はまもなくやってくる。それは、札幌の秋が尚一層深まって、おそらくは楓や蔦の赤赤しい彩りが名残惜しいのだろうけれど、葉は風に揺られて、窓越しにみえるのは色が深くなっている。秋は短いのだ。
人間、幸せなのは、小さなことに考えすぎないことだろう。池の鴨が欠伸をしているのをみてそう思った。秋が短いように、人間、少ない人生を心置きなく過ごすのは、いたずらに物事を考えずただ、気楽に生きていくとゆうことだ。気楽に生きていくほど、人間、考えず馬鹿で生きて行けたら、道半ばで往生することはあり得ない。
物事を心配しすぎず風に揺られていける楓くらいならば、物事を俯瞰せず、周りと常に合わせてゆけるのであろうから、命は楽である。誰の為にも思い詰めない、誰の為に苦しむこともない人生ならば、おそらく茜の色づかいの趣も判らないで、ただ暮らして、自分の為だけ考えて楽であろう。
ただ、誰かの事を傷つけないで生けるくらい人生は恐らくはありえないであろうから、そうゆう人間はつきあえはしないであろうし、信じていく価値すらないであろう。人は傷つけて初めて、自分の拳の力に気が付くのであろうか。
ただ物事に傍観に、物事のに安直に行けてゆく人生くらい、信実なものはない。黙って仕事をし、黙ってテレビを観て、生産性社会に従事して、機械の歯車の音になって、おそらく、人から嫌がられる梶を切ろうとししなければ、人生なんのための生きていくのだろうか。秋にもカラスは働いている。食べる秋あり、思う秋である。
少し、カラスのように、嫌われるくらい黒い生き方が羨ましいとも思う。安穏にカアカア泣いて、驚いた拍子に飛び去ってゆく。
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