5話 不死の力

「不死の力を得る皇帝の棺」


 エリックは自分の家で書物を読んでいた。机の上の書物を食い入るように見つめ必死にクスハを治す術を探した。

 読めば読むほど賢者の言葉の信憑性が増してくる。黒いアザについて言及されたページがあったためだ。空咳と黒いアザ。クスハの症状とピタリと一致する。エリックはその辺りのページを特に慎重に見た。


『シャガール王の呪いは皇帝の棺を見つけたものにしか直せない』


 この一文。皇帝の棺。

 藁にもすがる思いだったエリック。皇帝の棺は夢物語だと思っていた。だがそれを見つけることができれば……。

 エリックは超自然的な存在を信じていた。神様はいると思っていたし、このままの運命を回避出来るなら笑われようとも皇帝の棺を探そうと決意した。それに旅の途中で優秀な薬師が見つかるかもしれない。皇帝の棺が無くとも世界にはクスハを治す術があるのかもしれない。

 時間がないのだ。クスハの笑顔が頭に浮かぶ。

 君は絶対に俺が治してみせる。エリックは力強い瞳で書物のページを閉じた。

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