[2] カード

 "そして何かを書こうと思い立ったときには、私は棚からカードの包みを取り出し、それらのカードをトランプ占いをするときのように並べ直すのです。これは偶然が重要な役割を演じる一種のゲームなのですが、このゲームが私の消えてしまいそうな記憶を回復する助けにもなってくれるのです。"

 クロード・レヴィ・ストロース『遠近の回想』より。


 カードを使って構想を立てるなんてレヴィ・ストロースに限らずやってることじゃないか。

 その通り。どれくらいの人がやってるかは知らないが、特別な方法というわけではないのは確かだろう。

 重要なのは"一種のゲーム"と言ってるところ。ここが私の興味をひいた。

 楽しいという感覚は非常に大切なものだから。


 材料はいいがそれを並べているだけで連続していない、というような批判を最近2度ほど聞いた(別に私に向けられたものではない)。

 しかし何の関係もない2つの事物を並べたところで人は勝手に結びつきを考えてくれる生きものだ。いい読者なら自分で話のつながりを補ってくれる。

 じゃあ悪い読者は無視してしまうのか。いやはや彼らもそのつながりというやつをきっちり説明してやればわかってくれるだろう。

 要はバランスの問題だ。


 カクヨムリワードの失効する分のことをすっかり忘れていた。

 今年の11月分までで500に到達する目標としてそれまでには17失われる。ひと月あたりは10満たない小さなものだったが合計するとそれなりの量だ。

 前回掲げた『1か月あたり35獲得する』よりもうちょっと頑張らなくてはいけない。

 といって何かを新しく始めるわけでもなくて現状を再確認しただけの話だ。代償を支払ってでも達成しなければならないような目標ではないので。


 私は日に4000字書くのが限界だ。それ以上は時間的に厳しいしなによりくたびれる。

 今年の3月頃に6000字書いたことがあったが、なんか無理したなって記憶が残っている。やりたくない。

 近頃はだいたい1日に2000字分ぐらい投稿してるから、つまりなかなかストックは作れないということだ。毎日毎日書きつづけていなくてはどこかで追いつかれてしまう。

 これは精神的につらい。


 正直5月が終わる前の時点で面倒になってきた。

 これは私にありがちなやつで、長期間つづけることを思ってうんざりしてくるのである。例えば今回で言えば、これから半年ほど同じペースで書きつづけることを思っていやになってきた。

 実のところ解決法はわかっている。目の前のことだけを考えればいい。先のことは考えないでおく。

 いずれどこかでつまづくかもしれない。その時のことはその時の自分が考えてくれるはずだ。


 書くことでわかることもあれば、書かないことでわかることもある。

 自分が本当に書きたいものはなんなのか? それはそもそも存在するのか?

 そんなことを考えたことがあった。だから無理して書かないことした。書きたいものが本当にあるならば勝手に書き始めるはずだと思ったのだ。

 結果についてはここでは言及しない。

 ただ書かないことによって逆説的に見えてきたものがあったことだけ述べておく。


 随筆書くのめんどい、と随筆書きながら思う。

 作家でたまに小説が本業で随筆は副業みたいなことを言っている人がいる。

 でも私には随筆の方が書くのがたいへんで、ならいっそ書かなければいいんじゃないかと思うくらいだ。

 ただし普段から随筆を書いていればそれに慣れていって書くのが楽になるかもしれない。

 やってみないとわからない。けど今のところやってみる予定はない。


 カクヨムで基本、随筆は受けないと思っていた。

 が、それなりにレビューを稼いでいるようなのもある。

 随筆が受けるひとつの要素にその書いてる人自身に魅力があることがあげられる。小説よりもその傾向は強いように思われる。

 またざっくりカテゴリを眺めてったイメージではテーマが明確な方が伸びやすいように感じられた。

 どちらにしろ印象論にすぎないのでそのまま鵜呑みにしてはいけない。


 当初の予定ではリワードが発行されたタイミングで1本書こうと思っていた。月1投稿。

 それがなんとなく変更になってこれを書いているのは5/30である。

 随筆自体書くのめんどいと書いておきながらどういうことか?

 さらにさかのぼって冒頭に出てきた話、カード法でなんか書けないかと思って、それにぴったり来たのがこれだったからに他ならない。


 長くて40字程度のカードを16枚用意した。それらのうち10枚を1列に並べてこの文章の構成にした。

 出来栄えについては触れないが構成をもとに書くことは楽だった。しかしそれはカードごとのアイディアがはっきりしていたためであった。

 カード法を今後使っていくのか、現時点では未定。

 今回の試みでとりわけすばらしい成果が得られた、というわけでもないが、どうにもならないような欠点が露呈した、というわけでもなかった。


 カード10枚で2000字ぐらいにはなるだろうと思っていたが微妙に足りていない。

 じゃあ11枚にしとけばよかったかというとそんなこともなくて、この足りないという話をしたおかげで2000字に到達した。

 10枚でOKと思うが、もうちょっと1枚1枚の話を含ませてった方が全体としてよさそうだ。

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