54話 ぜんぶパンツのせいだ!
我慢していた気持ちがついに決壊した。
告白の方法が正しいのかはわからない。
そういえば教わっていなかったしな。
でも、もし教えてもらっていたとしても、今日この日を迎えたなら僕は同じように、その時の気持ちのまま伝えていただろう。
「だって……お姉ちゃんじゃなくて、ウチでいいの?」
「
愛衣さんはというと、顔を真っ赤にして瞳を涙でいっぱいにしていた。
僕は彼女の不安がなくなるまで、「本当に?」という問いかけに何度もうなずく。
ようやくそれで僕の告白が本気だと理解したのか、愛衣さんは口元を両手でおさえてわずかに俯いた。
「ウチも……君嶋のこと、好きぃ」
胸の奥がぎゅっと掴まれたように痛む。
なんだその仕草、すごくかわいいんだが。
数学で満点取ったときよりもホッとしたし、身体はインフルエンザのときくらい熱い。
息の仕方を忘れてしまったかのように、呼吸が乱れているのを自覚する。
一方、スウェットの袖で顔を隠して脚をばたつかせていた愛衣さんだったが、袖の隙間からチラチラとこちらを伺っているのが見える。
かなり気になる。何か言いたいのだろうか。
「……なんだよ?」
「わっ! えーっと、えっと〜」
モゴモゴ言いながら、彼女は視線を宙に彷徨わせる。
まったく、なんなんだ。
メガネを取って、汗に濡れた額を拭っていると。
「君嶋はさ、見たいんだよね? ……ウチのパンツ」
とんでもない言葉が聞こえた。
「……は?」
「だって約束だもん、仕方ないよねっ!」
突然どうしたのか、うんうんと頷いて納得しているが。
僕は慌ててメガネを掛け直す。
「まて、あれは言葉のあやだから本気にするな」
「本当にいいの?
不意に名前を呼ばれたことで、全身の血液が沸騰する。
展望台の日に願った叶わない幻想が、ゆっくりと形を帯びていくのがわかる。
こてんと頭を傾げて、彼女が僕を見つめる。
僕の視界からは景色も音も消え、愛衣さんしか見えない。
もうこれ以上にないほど胸が早鐘を打つ。
「でっもぉ〜。前にウチのパンツ見て悲鳴上げられたこと、根に持ってるからね〜?」
「んぐっ!?」
思わず言い淀んでいると、太陽のようにまぶしい僕の好きな笑顔が向けられる。
まったくそんなものを見せられると、言い返す気力もなくなるのだが。
首に、すっと細い腕が回る。
「あはは! そんな諒のすべてが大好きだよ!」
守りたい、なんて言葉は大げさだ。
でも離したくないと、はっきりと思う。
――少なくとも、悲鳴を上げる覚悟はできている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます