『カクヨム』を使ってみた感想
『カクヨム』
【良いと感じる点】
・単純に小説を書く、投稿するという観点から見ると、UIがトップで使いやすいです。プレビューと編集の切り替えも楽。
なるべくなら下書きは全部カクヨムで書きたい。
Ctrl+Sで保存可能にしてくれた人天才。
惜しむらくは、カクヨムの傍点はなろうに反映されないため、そこは手作業で修正する必要があります。
あと並び替え一つずつでなく任意の箇所にできたら最高なのですが……! ドラッグ&ドロップさせてはくれまいか……!
・作品情報も全て保存しておけるため、準備万全の状態で見直して好きなタイミングで投稿できます。
予約投稿も1分単位で可能。
ただしカクヨムの新着小説はリアルタイムで更新されていくため、1分単位で指定したからと言って、TOPに長く留まれるということもないです。
・下書き共有という、ちょっと変わった機能があります。
発行したURLで、カクヨムユーザーでなくとも公開前の下書き文章を読むことができるようです。
リアルの友達に、SNSで仲良くなった作家仲間に、公開する前に誤字脱字チェックなどをお願いしておくと、公開後に読者から指摘される事態を防げそうです。
・KADOKAWA様の運営サイトですので、カクヨムからKADOKAWAレーベルの公募に出すことができます。
第30回から、かの有名な「電撃大賞」にも出すことが可能になりました。
Webでの人気獲得に注力せず、公募を目標にしているけどついでに読者から評価や感想貰えたら嬉しい、くらいで掲載できるのが良いと思います。
というか個人的にその使い方が一番平穏な気がしています。
・上記公募勢がいること、後述するガチプロ作家様の存在からか、ガチの作家志望が多い印象です。
年齢層も高めで、なろうでは読まれにくい文芸ジャンルは、カクヨムの方が同士に恵まれると思います。
・気になる点にも絡んでくるのですが、作者同士の交流メインなため、感想やレビューをいただける確率はなろうより高い気がしています。
例えばなろうで100人に読まれても無反応な作品が、カクヨムでは3人にしか読まれなかったのに2人も感想くれる、とか。
とにかく言葉が欲しい! と思われる方は、カクヨムで自分からコメントしていくとまずコメントが返ってくると思います。
誰がフォロー(なろうのブクマ)や評価をくれたのかがはっきりしているため、「自分のこの作品が好きということは同士に違いない」と同じ作風の方を見つけることができます。
マイナーな好みの方はここで仲間と出会えます。いるじゃん! 〇〇好きいるじゃん! 今までどこにいたの!!
・任意でユーザーがお題を設定し、お題に沿った作品を集められる「自主企画」というものが存在します。
「こんな話が読みたいぜ!」と呼びかけると、自分から探さなくても作者の方から「読んで読んで」と好みの作品を並べてくれるシステムです。
読むのが好きな方、参考作品をwebから探す方には便利な機能です。
私も結構細かく条件指定して募集したのですがかなり集まりました。味を占めますね。
これはむしろ読み手向きの機能かと思われるのですが、現状ほぼ作者が使っています。理由は後述。
【ちょっと気になる点】
・カクヨムは特に「読み合い文化」が強いです。
自主企画を見れば一目瞭然ですが、作者同士の交流がメインと言ってもいいほど。
読み合い企画でなくともその意識が強く、「読まれたら読み返す」「評価されたら評価し返す」という文化があり、カクヨムの攻略法ではよくこの読み合いについて言及されています。
私も一度自主企画を開催しましたが、「読み合いではない」と明記した上で、それでも全作品中最も評価が集まりました。(初回公開2022/09時点)
また、一度目読んだ時には評価しなかったのに、こちらが相手を評価した後で、同じだけの評価が返ってきたこともありました。
逆に相手を評価しないと、「面白かった」とコメントした上で無評価、あるいは暫く反応がないと評価を消す、ということもあります。
暗黙のルール化しているため、この文化を受け入れられないと活動するのがしんどいかもしれません。
このことを気にしてか、プロフィールに「読み返し不要」や「お返し評価不要」のようにわざわざ記載される方もいます。
私も書くか迷ったのですが、相手に「評価不要です」という印象を与えかねず、気軽に応援されなくなるかもしれない……と書いてません。チキンです。
このように気遣いをされる方がいらっしゃる一方、お返し目当てで読みもせずにガンガン評価する人もいるようです。
ちなみに明らかに読んでいないと思われる状態で評価し続けるとBANされます。
だからって画面見ないでスクロールとかやめましょうね。画面滞在時間とかもわかるよ。
攻略観点からいくと、同じ自主企画に参加している方からの評価はランキングには反映されません。
しかし評価が高ければ読んでみたくなるのが人。
特にコンテスト参加作品は一覧で表示された時に★の数が一目瞭然です。
自主企画を覗いた読み専も、★がいっぱいついてる作品に目がいくでしょう。
基本的に自主企画での読み合いは純粋な「感想ほしい」「PVほしい」で成り立っているように見えますので、ランキングの効果狙いは薄そうです。
ランキングの上位、注目PUへの掲載を狙っていくなら、自分が参加していない自主企画の作品を読んでお返しを期待する方法になるかと思います。
「お返し」という発想自体は推奨しませんが、自分の作品を気に入ってくれた方は気になるものです。
相手に見向きもされなくても気にせず、返ってこないからといって評価を消したりせず、純粋に好きだと思ったものに入れていくのなら、そこに下心があったとしてもたくさんの評価やレビューをすること自体は悪くないと思います。
・なろうと同じく「連載が終了してから(もしくは区切りのタイミングで)評価しよう」と考える読者が多いため、長編作品ほど終わるまで評価が入りません。
なろうの欄では「ある程度で欲しい」と書きましたが、カクヨムでは公式が完結後(もしくは最新話読了後)の評価を推奨しているらしい……というのをカクヨムの創作論で見ました。
ただ、私が確認した範囲では、ガイドにもQAにもどこにもそのような記載はなく、色々覗いたところ、どうも「カクヨムのUI的にそのような動きを推奨している」という推察のようです。
個人的には積極的に連載中の評価やレビューをおすすめしたいです。
作者の活力になりますし、読者を増やす手助けにもなります。
オチが気に入らなかったら後から変更できるので……!
<<改>>
・カクヨムでは「BL」というジャンルがありません。
なろうは「ボーイズラブ」が必須タグですし、エブリスタにもアルファポリスにも「BL」ジャンルが存在するんですが、カクヨムだけはジャンル説明でも恋愛欄に「同性間の恋愛」と書かれているだけで、BLを分ける術は任意のタグしかないです。
<<改>>
・おすすめキーワード≠タグ
上記に関連し、BLのコンテストが発表された時に探そうとして初めて気づいたのですが、おすすめキーワードに出てくる様々な要素って「完全一致」じゃなくて「部分一致」なんですね。
おすすめキーワードの恋愛関係に「BL」あるんですけど、このタグ選択しても「BLではない」とかが引っかかるし、「ボーイズラブ」のタグを選択してもネタ要素として入っているだけのものにも付いているのでハーレムものとかが引っかかり驚きました。
「〇〇ではない」まで引っかかってしまうと、要素はタグ扱いで完全一致にしてほしい……と思いました。
【何とも言えない点】
・ガチプロ様がいる。
これは読者からすると利点なので、気にするとしたら作者側です。
なろうにもいるのかもしれませんが、カクヨムでは目立っている気がします。ネクストが始まったことで、更にプロの存在は強調されるようになりましたね。
コンテストにも参加されますし、順当に書籍化も持っていきます。
なろうにおいても受賞者が書籍化作家ばかりとか珍しくありませんので、webコンテストとはいえプロと競争していくのは変わりなく、それほどマイナスポイントということもないかと思いますが、気になる人は気になるかも。新人発掘に重きを置きたければ新人賞へ。
ガチプロ様ですが、まず公式連載がありますので、そこで読めます。それとは別に、作家さんが個人的に投稿しています。
カクヨムの攻略法に、なるほどと思った意見があったのですが、「web小説は無料で面白い小説が読めるサイトではない。無償で素人の面白いかどうかも分からない小説を、時間を使って読んでいただいている」(意訳)というものがありました。
その観点からいくと、現役で活躍しているガチプロ作家様の小説が無料で読めるのは、まさに読者の望むところでしょう。カクヨムの特徴にもなっていると思います。
気になる点で述べた通り、評価点数が贈り合いになっているので面白さの保証にはならず、読み専からするとガチプロ作家、書籍化作家の作品だけ読んでいれば十分に日々の時間が潰せると思います。
スコッパーと呼ばれる、デビュー前の地下アイドルを応援するような発掘家さんに見つけてもらえると宣伝してもらえる可能性もありますが、基本的にはPVは稼ぎにくい印象です。
一度自主企画を立てたと前述しましたが、PV0という悲しい作品もそこそこありました。
参加作品は全て読ませていただきましたが、PVの低さが出来のせいとは思いませんでした。交流不足は感じました。交流がうまいと常連さんがつくようです。
上げただけでは読まれないカクヨム。
PV0って、読まれてつまらなかったわけでも、一話切りされたわけでもなく、ただただ「見向きもされてない」って現実が超辛いですよね。直しようもないし。悲しい。本棚企画だけでいいので自主企画に積極的に載せていきましょう。
参考までに、私は「読み合い不参加」「お返しせず」(見に行って好きな作品には普通に評価入れます)「あんまり人の作品読まない」でやっていますが、自主企画は頻繁に覗いて本棚に並べて、一応全作品評価いただいてます。(初回公開2022/09時点)
【傾向と所感】
・男性向けラブコメ、ファンタジーが強い。
・累計ランキングより注目作(前日の評価数によるものと噂。そのため贈り合いが発生する)が目立つ仕様なので、TOPで常に同じ作品が表示されているところと比べると新陳代謝が良いと思います。
・読み合い文化が強いとはいえ、そこへの参加は任意ですので、孤独にKADOKAWAレーベルでのデビューを目指している方にも良いかと思います。
カクヨムから応募すれば、応募時にフォーマットに失敗したとか送ったら文字化けたとかそういう悲しい事故は防げます。(たまにいるらしい。)
まれに親切な方が誤字脱字を指摘してくれる可能性もあります。
ただこの誤字脱字報告、トラブルの元にもなるようです。
というか、交流メイン、コメント多い、の割にあまりコミュニケーションがお上手ではいらっしゃらないというか、作家気質というか、どうオブラートに包めばよろしいでしょう。
若年層のストレートな荒れとは違った、刺々しい、もしくは粘度の高い、高尚なご指摘がつくことがあります。
さすが大人、削除や通報するレベルではないし下手したらこちらが悪者になるしかし悪意は分かるぞすごいな、というハイレベルなやりとりが交わされます。
返す作者もうまいこと躱してるぞ、すごいな。立派な大人。私なら削除するかも。
幸い私は作風のせいかやられたことないです。ブロック機能はあるので自衛しましょう。
「むしろそれがイイ!」という人種もいるっぽいので、双方合意の上でしたらそのような趣向で楽しむのも良いかと思います。ただそれ明記しておかないと「コメント欄荒れてる……」って読者が避けると思います。
大半の方は問題ないです。
感想貰って嫌な作者はあんまりいないので萎縮しないでください。
下手でもいい、一言でもいい、うまく言えなくてもいい。
でも悪意とか皮肉とかほぼ分かりますよ。裏の読めない作家はいない。衝突を避けようとわざとKYする人はいる。
地雷っぽい人はプロフィールと近況ノートをちらっと読むとなんとなく把握できます。
ものすごい偏見ですが、重箱の隅をつつくのが好きなタイプが一定数いる気がします。
なろうのガイドが噛み砕いてると書きましたが、カクヨムのQAには知的財産権の規約に関する回答があります。
そんなに質問きたのか。さすが大人。読み込んでるな。
感想はともかく、誤字脱字報告はなろうと同じく匿名性が欲しいところですね……。
もしかしたら意図的な表現の可能性もあり、それを公開されたコメント欄でやりとりするのは確かに人によっては嫌かもしれません。(ギャグを解説したくない心理)
私は小説の誤字脱字報告歓迎です。歓迎です。(大事なことなので二回言いました。)
この書きなぐり感想や近況ノートには不要です。
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