愛すべき彼女、愛せない彼。
成瀬 直
第1話 プロローグ
その青年は朗らかな笑みを浮かべた。
「いらっしゃいませ」
どこか神秘的で端正な顔立ちをした彼は、漆を紅でなぞるように、つるりと形の良い唇を上げる。独特な雰囲気を持つ為か、すらりと長い足から細くて滑らかな指先まで、見る者の興味をそそる。
焦げ茶色のエプロンを身に纏い、ふんわりとコーヒーの香ばしい匂いが漂わせる。店内は女性客が大半を占めており、男性客は肩身が狭いのか、目を泳がせて熱くて苦いコーヒーを啜っている。
たとえ同性であっても、彼の美しさには驚かずにはいられない。不意に目が合うと顔を赤らめて伏せてしまう。
青年は気づいていた。皆が自分に向ける視線が異様であることに。そして自分自身も異様の塊であるということに。
彼はその後、とある運命の女性と出会う。彼女との出会いによって、悲劇と喜びの幕が上がろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます