第21話 地位と血について

昔から不思議に思っていることがあります。

学校の古文の時間に読んだある文章でのことです。源氏の某が苦労の末に化け物を退治し、「藤原氏」の某かがそれをほめるといった内容でした。その文章での敬語を見ると源氏より藤氏の貴族のほうが偉く書かれています。

私にはこれが不思議でならなかった。源氏の人は臣籍降下と言ってもともとは皇族の男系を引いている身分なのです。(例えば桓武平氏は桓武帝の後胤、清和源氏は清和帝の後胤です)。一方、藤原氏は昔から家臣の身分です。つまり、藤原氏の某から見ると目の前にいる源氏は昔は先祖代々お仕えしていた皇族の身分でもおかしくないお方なのです。その「尊ぶべき」皇族の身分の子孫よりも(たとえ臣籍降下であったとしても)何故、一家臣にすぎない藤氏のほうが身分が高いのか、ということです。

その原因は血族とその身分の差であるのでしょう。

端的に言えば、(もうこれは本当に恐れ多いことを言いますが)皇族→尊いのでは

なく、皇族に生まれると「皇族」という尊貴さを大抵の場合に手に入れられることが出来ます。この「皇族」というレッテルが尊いのであり、血はそれ自体が尊いのではなく、「皇族」レッテルを受けることが出来る者を示しているにすぎない。また、皇族に生まれながら「皇族」のレッテルを奪われる場合があり、それが臣籍降下というのです。例えば、源氏は皇族に生まれながら臣籍降下をし、「皇族」というレッテルから「源氏」というレッテルに変わったのです。そしてそのレッテルは「藤氏」よりも身分が低かったので、結果、皇孫である源氏が藤氏よりも身分が低いという一見変な現象が生まれたのです。皆様の意見もお聞かせください。

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