これが私のエンディング
リアス
開幕 ——視点
読み終わったらロウワーという曲を聞いてから見てみると意味が違ってみえるかも、、、
魔女が捕まった。
当たり前だ。 ——————————
柱に縛りつけられた彼女の足元には今にも火が放たれそうだ。
魔女はこちらを見た。
その目は閉幕には似合わ、いや、最高に似合う目だった。
いつからだったのだろう
足元が燃え始めた苦悶の表情を浮かべる魔女を眺めながらそう考えた。
最初は彼女をとても尊敬していた。
魔女でありながらその存在には似つかない優しさに皆は彼女の事を聖者と呼んだ。
「あぁ!聖者様!娘の病気を治してくださりありがとうございます!ありがとう、ありがとう。」
「いえいえ、そんなそんな顔を上げてください。」
私は彼女の弟子として彼女の手伝いをしていた。今も小さな村に食料を配ったり、病気を治したりしている。
「魔女様」
「ん?どうしたんだい?」
彼女は真っ直ぐと私を見る。
いつもは気を引き締めてやっているのだが、少し気が抜けてしまっている事が気になったのだろう。まぁ、これからの事を考えているとそんないつでも集中出来るとは思えないが
「いえ、、なんでもございません。」
「うん、でも悩みがあったら僕に何でもいいなよ?君は僕の大切な弟子の1人なんだから!」
そうだ。魔女はいつもそうだ。私を名前で呼ばない。彼女からしたら私はただ————の1人でしか無いんだ。
「はい。お気持ち感謝致します。」
私はその頃から少しずつ魔女に不満を持っていたと思う。
そしてその同時期に国が魔女を邪悪の象徴と謳い処刑しようと軍を使い探し始めたのだ。その張り紙を置いた机を囲うように座り議会を始める。
「うーん、まさか軍が動いてくるとは。
これだとみんなを救う活動がしづらくなってしまうね。」
ため息を吐きながら頭を抱える魔女に弟子の1人が手を挙げた。
「じゃあ私達が街の偵察に行ってきます!
魔女様を危険に晒すことはできません!」
「ありがとう。
しかし君達だってくれぐれも気をつけておくれよ?僕と関わりがあるだけで危険になる可能性もあり得るんだから。よし、じゃあそれでお願いね!
後、君!ちょっと僕についてきて!」
そう言って魔女は私の手を引いて近くの海へとやってきた。
「綺麗だねー!」
「はい、とても美しいですね。」
確かに夕焼けがとても美しい。
だが、それだけだ。こんなもの今まで幾らでも見てきたのに。
魔女の言葉は肯定はするがそれは社交辞令のような物だ。
「変な話だけどさ。彼らが言う、神が創り出したというこれだけ美しい世界は何故これほどまでに平等ではないのだろう?なぜ皆が均等に幸せが分け与えたり得ないのだろう。
君の意見を聞きたい。」
私は少し思案して、
「そうですね、平等ではないからこそ努力し
工夫し、争う。そうした事の先に進化が生まれる事を神は美しい世界だと考えているのではないでしょうか。
そして未だにこの神の創り出した完璧なこの世界で未だに人が平等ではないと言うことはまだ人には違いがあり、これから人が進化し、平等にさらに美しくなれると言う事だと思います。」
彼女は私の意見を聞いて面白そうな顔をした
私は内心自分の言った意見に反吐が出そうだった。私は全くそうは思わない。
私が神とやらなのならまず感情なんてものは要らないし、この世に負という言葉を解き放ったパンドラにも箱は渡さないだろう。
「それは面白い意見だね。これから平等になるか。僕はね、自分で聞いといてなんだけど君みたいに苦労した人達は絶対にいなくならないと思うな。神がそう作った。そう思うよ」
「しかしそれでは、」
「うん、僕の言う平等は無理。正直それは無理だと思ってるんだ。だからこそ無理なら無理なりに少しでもその数を減らす事が重要だと思うよ。」
そう言って魔女は私を抱きしめた。
「ど、どうしたのですか?」
「君は、大切な弟子の1人だ。」
「ありがとうございます。」
「僕は君に嫌な思いをさせている事もあるだろう。そんな時はなんでも言ってくれ。
君はそう言うのを言わないタイプだからね。
手の届かない所を救えなくて嘆くよりも手の届く所にいる君達に平等を、辛い思いにはさせたくない」
嗚呼、やはり。魔女は確かに聖者だ。
彼女のような誰しもが平等になれなど言える聖者がこの世にどれほどいるのか。
だが彼女は平等だけを謳い私を特別な1人としては見てくれなかった。
「はい、でも大丈夫ですよ!」
「フフ、そうだと良いけど。」
少し笑いながら言った時、私が涙を流している事に彼女は気づく事は無かった…
「魔女はここに誘い込む。その間にお前は
ここで捕まえる準備をしておけ。そこが魔女のエンディングだ。」
「あぁ、」
彼は私を悲しいモノを見る目で見た。
「お前、悪かったな。」
彼の言葉を理解する事は出来なかった。
それからは仕事も何も考えずにできた。
どうせこいつらはもう少しで全員死ぬのだと考えたらどうでも良くなったのだ。
そして遂にその日はやってきた。
「魔女様、このお店の料理は絶品なんですよ!まさにほっぺが落ちる様でした!」
「ほう、君がそこまでオススメするぐらいなんだからそれは美味しいのだろう。」
そう言って扉を押した魔女の後ろで私は
“サイン”をした。
「うーむ!このパスタは確かに素晴らしい!」
「でしょう?街で勧められて来たんですけど
まさかここまでとは思いませんでしたよ!」
2人でパスタを褒めあっていると魔女の顔が楽しげなものから一転して睨むような顔に変わる。
「キミさ、僕の事裏切ろうとしてる?」
魔女の私を見る目は真剣そのものだった。
今まで聞いたことも無い脅すような声に驚いた。それになぜ自分の計画がどこでバレたのかと考えようとしていたが、まだ疑問という事は取り繕える可能性があると言うことだ。
「フフ、そんな訳ないでしょう。」
私は少し笑いながら間髪入れずに答え、彼らに”合図”を送り、お会計をして店を出た。
「見て下さい!広場で劇がやっていますよ!」
「あぁ、そうだね。」
その劇は魔女の物語だった。
そして私達が見た時”たまたま”魔女が捕まるシーンで、そして”たまたま”魔女役がいなくて
そして”たまたま”舞台の中央に向かう道が開いていたのです。
「ほら、魔女様!行ってみましょう!いや、
早く行け、“業火の大罪の魔女”」
「あぁ、そうだね。」
私と魔女は真ん中の道を大勢に見られながら歩く。
彼女は何もおかしな事はなかったかの様に平然とした態度で進んでいく。
「正直、貴方に言われるまで裏切ろうか悩んでいました。」
「そっかぁ、じゃあ僕が悪いね。」
魔女は力なく笑いながら舞台の中央に立つ。
そして縄で縛られた。
兵士長の彼は私を見て
「ありがとう、すまない」
そう言って去って行った。
そうして三日後魔女の火炙りがたった今目の前で行われている。
思考が元に戻った時には魔女は下半身は最早炭と言ってもいいほどに焼けこげていた。彼女は燃えながら周りの人一人一人にペコリとお辞儀をしていく。
そして、彼女は全身がすみのようで、似たような私に深々とお辞儀をした。
私も黒焦げの魔女の帽子を拾って被り直し、ペコリとお辞儀をした。その時、彼女が私を、呼んだき…
閉幕
魔女側の視点もありますので続きをお待ちください!
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