第31話誘拐

 ガーネット伯爵家嫡男グードンは、学園の美女たちが平民で奴隷のノアに集まり、高貴な貴族で美しく、強い(と思っている)自分に見向きもしない状況に我慢の限界だった。


 特に、水色の美しい髪と、凛々しい表情が美しいと有名なミーシアの奴隷であり、遠くの国の王族であり、成長途中の幼さに少しの妖艶さが混じり出して人間離れした魅力の双子姉妹と懇意になっているのが許せなかった。

 なぜならタイプこそ違えど、その三人はグードンのどタイプだったから。


 そして、彼は父親と同じく、欲しいものは何をしてでも手に入れようとする性分だった。

 父は風の大魔法使いでサーシャの姉リオラの魔法研究を、利害の一致した魔法使いと協力して奪い取った。

 彼もまた、力ずくで彼女たちを自分のものにし、ノアを地獄に送ってやろうと考えた。


 女は自分の魅力とアソコで魅了すれば、どんな女でも従順になり、自分に依存する。


 ノアには彼女たちが堕ちていく姿を見せつけてやってから彼女たちの手によって殺してやろう。




 ☆☆☆☆☆☆


 リアと、彼女に頼まれたルアは枕を濡らした翌日から情報収集を開始した。

 伯爵家のことを調べるのはできないが、学園内で息子の悪事だとか、弱みを見つけ出すことは可能だと思ったから。


 普段あまり話さない異国の双子皇女に話しかけられた男たちは、デレデレしたり、下心を持った視線を送るなど基本気持ち悪かったが、二人の質問には気前よく答えてくれた。


「いい調子だね!」


「……評判悪い」


 そのグードンの評価はあまり良くない。

 グードンと同じ騎士科の生徒のうち、貴族からは自己中心的過ぎて、一緒にいては目上の人にまで目をつけられかねない。

 平民からは、八つ当たり的な暴力や暴言が一番多く、関わりたくない、というもの。

 科が違う魔法科でも、評判は悪かった。


 上流階級に身を置いて、嫌われない人はいないことは分かっているが、ここまで嫌厭されているとは二人も予想していなかった。


 しかし、これは二人にとって好都合で、伯爵家にとって都合の悪い部分が出やすそうである。


 調子に乗って、二人は片っ端から声を掛けていく。


 二人は貴族界隈には、派閥というものがあるということを忘れていたのだ。




 グードンに連れの貴族から自分のことを双子皇女が嗅ぎ回っているという報告が入る。


「なに? なぜだ?」


「そ、それは分かりません……」


「……まあいい」


 にやり、とグードンの口が歪む。

 そのうち手篭めにしようと思っていた女たちだ。

 向こうから動いてくれるのなら、それを利用すれば良い、と彼は思う。


 リアたちにとって、手を広げれば広げるほどに期待値が上がっていくことが好都合ならば、グードンにとっても、多くの人間と接触してくることは、自分の影響下にある人物と接触する可能性が増えるということであり、好都合だった。


 そしてある時、


「ねえキミ、グードンって人ってどんな人かわかる?」


「ああ、それはね……ずるい人だよ!」


「きゃーーむぐ、んんーっ!」


「やめーーむぐむぐ……!」


 接触を見越して張っていた何名かの伏兵が、二人を抑え込む。

 リアとルアは、グードンの手下に声をかけた際に捕まることとなる。








ーーーーーーー

今日も少し最高記録更新したかもしれない!

です!

みなさま読んでいただきありがとうございます!




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