第4話 知識

「藍李。どう?同居生活」

「あー……」

「上手くいってる?」


「まあ、各々家庭の事情とかルールとか色々と意見聞いた上での同居生活だし、そこまではないけど…義理兄(お兄ちゃん)の問題は…辛いだけかな?」


「そうか…そうだよね。会話とか出来ても想いは伝える事は出来ないしバレないようにしないといけないし…一方的な片思いだもんね」


「そうそう。何も進展しない関係だからね」


「見てるだけ」


「そう!見てるだけ。ていうか…見つめるだけ?」


「確かに」





美香菜に、尋渡さんの話をしている。


こんな話を出来る人なんて、親友くらいだろう。


家族に出来るわけじゃないのだから――――





「だけど、もしかすると、気になる存在に変わったりとか?」


「そんな事したら全家族崩壊だね」


「それは大変な事になるよね?」


「なるなる!」





その日の夜。



「あ〜〜〜っ!眠れない!」



私はリビングにいた。



「藍李ちゃん?」



ビクッ



「うわっ…!」


声がし驚く中、振り向く視線の先には


「尋渡さん!?ビックリした…」

「何してんの?」

「いや…眠れなくて…尋渡さんは?」

「俺は汗かいたからシャワーでもと思って」

「あー…そういう事…」



「えっ?」

「夫婦の営みのラブラブ後のシャワーなんだね」

「あ、いや…」


「良いよ。隠さなくても。夫婦だもん。体の関係ない方が逆におかしいし駄目でしょう?」


「ま、まあ…案外…大胆に言うね」


「言うよ。別に、それくらいの知識とかないわけじゃないし。あ、でもその内容の奥深い事は詳しく知らないよ」



「またまた〜」

「本当です!」



私はリビングから部屋に移動する事にした。



「寝るの?寝れないんじゃなかったの?」

「用事思い出したの!」



私は足早に去った。




話を聞けば辛いだけ。





好きな人とキスしたり


愛し合うって事は私には出来ないから


私は尋渡さんと結ばれない運命だから


私がもし冗談で求めた所で


夫婦の二人の間に入れない


断られて


恥かいて


恥ずかしい思いするのは


自分だから


遊びの恋愛?


都合のイイ女?


私はなりたくないし


なろうとも思わない


ここにいられなくなる


みんなに迷惑かかるから


家族崩壊だ


私は見守る事しか出来ないから―――












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