創造主様へ

さくら

第1話 Somewhere, In a Prison

蒸し暑い、じめじめした室内。

薄暗いこの場所に閉じ込められて、もうどれくらい経っただろうか。


時間の経過がとても遅い。

繰り返される尋問に、心が折れそうだった。


――それでも。

こうしてかろうじて耐え続けていられるのは、彼女への想いに他ならなかった。


これだけは、何があっても失くしてはならない。

失いたくない、大切な人。


「フェリス……」


今もあの町で無事で暮らしていてほしい、と願う。


これからどうなるのだろう。


「……こんな世界じゃなければ、よかったのにね」


等しく生まれたはずの人間の中には

私は含まれていないようだった。


「創造主様は……容赦ないなぁ……」


冷めきった食事に、ゆっくりと手を伸ばす。

さっきの尋問で口の中を切ったらしく、もう慣れてしまった自分の血の味を我慢しながら押し流していった。

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